意外!?助成金申請の落とし穴

意外!?助成金申請の落とし穴 労務・人事評価・採用

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皆さん、こんにちは!
歯科医院地域一番実践会 地域一番化マスター 岩渕龍正です。

助成金って聞くと、皆さん、どんなイメージを持たれますか?

「申請すれば簡単にもらえるもの」
「返さなくていいお金」
「やりとりが面倒くさい」

などなど、助成金についてのイメージは人それぞれです。
そして、意外と歯科医院ではしっかりと助成金を申請していないことが多いです。
また、申請していたとしても、最低限の助成金しか申請してないケースが多いです。

私は助成金に頼った経営は危険だと考えています。

ですので、助成金はもらえたらラッキーぐらいに考えておかないと痛い目を見ると思います。
なぜなら、助成金はSEOのように2ヶ月に1回までではありませんが、毎年、変わります。

「去年まではもらえていた助成金が今年からなくなってしまった」
「去年までは簡単にもらえたのに、要件がめちゃ厳しくなった」
「去年までもらえていた助成金が今年から半分になっちゃった」

などなど、当てにできないのです。
また、全ての要件を満たさないともらえないので、申請してから1年後にもらえる助成金なんてのもザラです。
その際、要件を満たしてないために、もらえる金額が半分になってしまったなんてこともありえるのです。

しかも、役所とのやりとりが発生しますし、お金をもらう訳ですから、これは役所も最大級に力を入れてチェックしてきます。かなりしっかりとした事務処理能力がないと、かえってトラブルの元にもなりかねませんので、注意したほうが良いです。

また、多くの院長先生が「助成金は誰でも申請したらもらえるもの」と誤解しているようですが、違います。

助成金を受給するためには絶対に満たさなければいけない条件があるのです。

・雇用保険をきちんと払っていること・・・これについてはほぼ100%の歯科医院がクリアしていると思います

・就業規則を作成し、労働基準監督署に提出し、受理されてること・・・これをクリアしていない歯科医院が多いのです。

就業規則の作成については、常時10人以上の労働者を雇用している場合には、作成義務がありますので、地域一番レベルの歯科医院では作成し、届け出ていることが多いと思います。

しかし、スタッフ人数が5人前後、年間医業収入5千万円前後の医院では、就業規則も作成していない医院が8割以上ではないでしょうか。また、仮に作成していたとしても、労働基準監督署には届け出ていないことも多いと思います。

これでは、助成金申請が通る、通らない以前に申請する資格がないのです。
先ずは、就業規則を作成しましょう。

また、「常時10人の労働者」という表現についても、多くの院長先生が誤解されてます。

× 「常勤スタッフ10人」
○ 「常勤、パート、バイトスタッフ合計10人」

なのです。
つまり、常勤だけでなく、パートやバイトなど、常時勤務しているスタッフは人数にカウントするのです。
となると、実は就業規則作成義務のある歯科医院は全体の4割ぐらいになるのではないでしょうか。

また、義務があるないにかかわらず、今後は労務的な問題が増えることはあっても、減ることはほとんどないと思います。そんな中で、何か院内で労務トラブルがあった時に、スタッフとしては「うちには就業規則もない」と言われてしまいますし、それだけでたとえ、就業規則作成義務がない医院だとしても、「うちは就業規則もないブラック歯医者だ」と言われかねません。

また、もし、最悪、スタッフと労務トラブルになってしまったとしたら、就業規則がなければ、全てスタッフが有利に判断されてしまいます。医院を守るためにも、就業規則作成は今後は必須になってきていると思ったほうが良いです。

現在、歯科医院でスタッフと面談していて、一番、多いスタッフからの不満は労務関連だからです。
労務関連の知識をつけるためにも、就業規則をしっかり作成したほうが良いですし、それを労働基準監督署に届け出ることは最低限のこととして、もはや歯科医院はやるべき時に来ていると是非、考えてみてください。

「じゃあ、助成金をもらうためにも必要で、岩渕さんがそんなに言うなら就業規則作ろうかな」

という時に気を付けないといけないことがあります。
それは・・・

適当に作らない

ということです。
就業規則は歯科医院とスタッフとの約束です。
この就業規則を社労士さんの言うように適当に作ってしまうと、後で変更することが難しくなることがあるからです。

なぜでしょうか?
例えば、歯科医院のスタッフにとっては労働条件が緩い方が良いに決まっています。
しかし、法律的にはどこまでが最低限のラインか院長が把握せずに社労士の先生の言われるままにゆるーい就業規則を作成してしまうことがあるのです。

例えば、「慶弔休暇」というものを設けるケースがあります。
しかし、これは労働基準法的には別に、設けなくてもいいのです。
ですが、何も労務的な知識がなければ、「社労士さんが言ってるんだから、作らないといけないんだ」となってしまいます。

これから、益々、従業員は労務的な知識を武器に、権利を主張してきます。
では、実際にどこまでの権利が認められるのか?
それを明確にするのが就業規則なのです。

労働基準法ではそこまでの権利を認めていなくても、就業規則で認めてしまえば、もはや、それは権利となってしまうのです。だからこそ、院長自身がしっかりと労務的な知識を得て、「どこまでをうちの医院は権利として認めるのか?」ということを就業規則に記さなければいけないのです。

そうしないと、無駄にスタッフの権利を拡大してしまったり、今まで曖昧にしていたことを明確にすることでかえってスタッフが不信感を持ったり、「これはどうなってるんですか?」と寝た子を起こすことになります。

助成金目的で就業規則を作成すると、このような点が甘くなり、かえってヤブヘビになることがあるので注意してください。

投稿者プロフィール

岩渕 龍正
岩渕 龍正
歯科医院の移転、リニューアルの際の図面作成には絶対の自信を持つ。
現在は、年間医業収入1億円以上の医院が3億円を目指すための仕組みづくり、組織作りに力を入れている。
歯科界での突出した実績は歯科業界以外からも注目を浴びている。
近年は夫婦で医院経営も家庭も成功させる「夫婦成功」にも力を入れている。
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