きれいごとは言いません。結論から言うと、一般的に国内においてはMBAは活かせないです。もちろん、有名な戦略系コンサルティングファームは別としてです。

私たちが経営をお手伝いしている医療業界（特に歯科クリニック）は感情の世界です。どうしても自動化・機械化が難しいし、診療そのものは人が直に接する必要があります。だから、どうしても人間関係や対人関係の問題が多発します。特にマネジメントは感情で動くわけです。

• あのスタッフが嫌い
• あの先輩は仕事を選ぶので腹が立つ
• 後輩が言うことをきいてくれない
• 昇給がないからやる気がなくなった（特にできることは増えていないのに）
• 男性の患者と接するのが苦手なので男性が来たら仕事したくない

原因を探って解決策を考えだしたとしても、イヤなものはイヤと言われて終わりです（最終的に渋々やってくれることが多いのですが･･･）。解決策はあっても実行は現実的に無理という苦しい（というかくやしい）状況がよくあります。

「経営コンサルタント」とか「経営コンサルティング」の現実は言葉から一般的にイメージされる華やさとはかけ離れています。ケーススタディで学ぶような大規模なプロジェクトはないし、●●分析だとか△△フレームワークは上記のような場合はほぼ無力だと言ってもいいでしょう。

というわけで、MBAの知識・スキルは役に立ちませんが、MBA取得を通して身につく忍耐強さやたくさんの情報を処理する能力、だいたいのことはなんとかなりそうという変な自信は有効だと思います。

医療経営コンサルティングの現場では手探りなことが多いです（もちろん、初めのうちはある程度「型」を学んでやっていきます）。新しいサービスが出てきたら、どのようなものか・院内でどう利用するかなどを考えて実践していきます。半分「代行業」です。できるだけ現場で大枠は完成させたいので、そんなに時間はかけられません。そういうときにはMBAの取得を通した身についたことは大いに役立ちします。

最近であれば「アップルマップ」が力をつけつつあります。院長から「やったほうがいいの？」と質問された場合

• そもそもアップルマップとは何か？
• いま登録する必要はあるのか？
• クリニックを登録方法は？

というのをその場で（必要なぶんだけ調べて）、5～10分程度で理由とともに（やるなら実行方法も含めて）答えられるといいと思います。こういう瞬発力、必要な情報を見つけて提示する能力はMBA取得の中でさんざんやってきたでしょうから役立つと思います。

よくある結論ですが、MBAそのものが役立つのではなく、取得を通して身につくものを現場で活かすということが大切です。