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歯科業界の明るい未来を描くリーダーシップ
皆さんこんにちは!
経営戦略研究所のコンサルタントの渡邊です。
今年も4月を迎え多くの方が新たな社会人としての門出を迎えました。
ここ数年の新社会人となる方々の立場となって考えてみますと、
学生の期間にコロナを経験しており、ウクライナでの戦争、
イスラエルとハマスの戦争、40年ぶりと言われる物価高など
多くの歴史的な出来事を次々と経験しています。
新社会人となるにあたり、期待よりも不安が大きいという方も多いかもしれません。
そのような新卒の皆さんの状況をイメージしますと、
明るい未来を描くリーダーシップを発揮することは
非常に重要になってくるのではないかと思います。
本日はこれからの時代に必要なマネジメントやリーダーシップに関して、
考えを伝えていきたいと思います。
今年の新卒を取り巻く環境と伝えるべきメッセージ
失われた30年間を経て、すっかりデフレマインドに染まり、
現状維持バイアスが強くはたらいてきた世の中から、
今その状況を脱しようとする大きな変化が起きていると感じます。
日経新聞にも脱デフレや賃上げの記事がたくさん出ております。
しかし最近の報道にあるような、物価高を超える賃上げを
実現することは容易ではありません。
大企業を中心に5%のベースアップを実現したというような記事が
次々と新聞を賑わせていく一方で、
昨年度の年間の早期退職募集者数をたった2ヶ月で上回ったという記事
も同時に出ています。
必要な人の給与はあげる一方で、
残念ながら人員整理をしたほうが良い人もいるという
二極化がはっきりと見えてきています。
継続的な賃上げを実現するためには、
その人自身の成長と組織の成長が欠かせないことは明らかです。
この事をはっきりと伝えていく必要があると私は思います。
今の時代を覆っている雰囲気として、
厳しさを伝える事は避けたほうが良いという風潮が蔓延していると思います。
しかし、優しくしたとしてその人自身が現状で良いのだと錯覚してしまったとしたら、
そのような環境はその人のためには全くならないと思います。
周りから指摘されることで気づく必要な自己認識が出来ないことで、
危機感もないためいつまでも出来るようになりません。
そしてそのような時間を過ごしているといつしか仕事が楽しくなくなり、
夢も希望も失い職場を去っていってしまうことになります。
そしてそれはそのままその人のキャリアとなっていきます。
挽回するためにはより多くの時間がかかることを覚悟しなくてはいけません。
新社会人を迎えるスタッフの方々には、
皆さんが経験してきたこと、困難を乗り越えるために大切な考え方、
社会人として大切にしたほうが良い心構え、仕事の楽しみ方を
何度も様々な方法で伝えてあげることが大切だと考えています。
ある時、日本を代表する企業であるファーストリテイリングの
柳井社長の入社式でのメッセージがYouTubeにアップされているということを知りました。
連日の大企業のベースアップのニュースを見ていて、
どのような事を伝えるのだろうと強い興味があり見てみました。
あくまで自分の感想ですが、
日本を代表するグローバル企業という感じではなく、
中小企業の現場を力強く引っ張るリーダーとしてのメッセージが
そこにはありました。
・店舗に来るお客様を大切に出来ないやつはだめだ
・企画やマーケティングは本部でするんじゃない、店舗でやるんだ
・実践することが大事なんだ
・周りのスタッフに認められない人はだめだ
仕事をする上で柳井さんが大切にしてきたであろう向き合い方や考え方が
柳井さんの言葉でとても強く伝わってきました。
かっこいい体の良い話ではなく、
新卒の皆が知っておいたほうが良いと心から感じている
リアルで厳しい事実を伝えているように感じました。
厳しい現状から目を背けていても、
それは問題の先送りになってしまうだけで、
心が弱くなってしまうと私は思います。
しっかりと現状を伝え、
成長をサポートするリーダーの姿勢と
組織の環境づくりがこれからの時代には
より求められてくるのではないでしょうか。
これまでも実践会では新人スタッフの皆さんに、
社会人としての考え方や仕事のあり方を
新人スタッフ研修として伝えてまいりました。
是非新人スタッフの皆さんと一緒にご参加ください。
明るい未来を描く
厳しい現実を伝える一方で柳井社長は新人の皆さんに、
グローバルに活躍する人材になってほしいという
期待もはっきりと伝えていました。
皆さんの医院でもこれからの歯科業界で頑張るスタッフに
明るい未来を伝えることは出来ていますでしょうか。
この6月に診療報酬の改定が行われますが、
私にはより歯科業界と歯科業界で働く皆さんの
重要性が高まっているとうことを強く感じました。
糖尿病患者さんの治療計画においては歯科医師との連携が重要であり、
歯科医院の受診を推奨するという項目が盛り込まれていました。
実際の保険点数の話はもちろん重要すぎるほど重要です。
それ以上に大切なことは、皆さんが行っていただいている歯科治療が、
世代を問わず多くの人の健康にとって重要性が高まっているということです。
今回の改定からそれを感じることが出来たことをとても嬉しく感じております。
エッセンシャルワーカーの仕事は多くの人に求められると同時に、
AIでは代替が出来ない仕事とも言われています。
そのため高齢社会に突入している日本では
エッセンシャルワーカーの雇用が今後益々増え続けるといわれています。
そのような業界で皆さんがキャリアを築いていく意味はとても大きいと私は思います。
一方で、AIで代替が出来ないということは、
仕事をAIに奪われる可能性は少ないものの、
仕事が難しく個人差が出やすいということです。
頑張る人とそうではない人で大きな差が出るということです。
しかし、人から求められる難しい仕事が出来るようになるということは
その人の稼ぐ力を高め可能性を拡げてくれます。
そのような成長を期待していることを
しっかりと伝えていくことが大切ではないでしょうか。
成長をサポートする
このように厳しい現実を伝える、期待を伝えるというと、
要求が高すぎるのではないか、辞めてしまうのではないか
と不安になられる方もいらっしゃると思います。
確かにその心配はあります。
しかし、人が育つ組織では必ずこのようなメッセージを、
継続的に様々な方法(MTG、面談、セミナー参加など)で伝えています。
問題は伝えているだけではだめだということです。
そこには必ずサポートが必要です。
アンジェラ・ダックワースさんのやり抜く力をテーマにした
「GRIT」という本の中で、
やり抜く力が伸びる家庭の特徴を4つに分類していました。
要求が厳しく支援を惜しまない育て方「賢明な育て方」
要求が厳しく支援しない育て方「独裁的な育て方」
あまり要求しないが支援を惜しまない育て方「寛容な育て方」
要求も支援もしない育て方「怠慢な育て方」
先生の医院はどのような環境でしょうか。
また、先生だけでなく先輩スタッフはどのような育て方をしていますでしょうか。
十分に賢明な育て方が出来ていればスタッフは成長していく可能性が高いです。
独裁的な育て方をしているとスタッフの離職率は総じて高く、
寛容な育て方をしているとスタッフの成長意欲は失われ、優秀な人材が去っていき
怠慢な育て方をしているとスタッフは無気力になり、
このどのケースにおいても不平不満が多くなっていくと思います。
人によってどの程度のサポートが必要かというのは全く異なります。
仕組みである程度整えながらも
最後は育成者が1人1人に向き合いサポートする力があるかによって
先生の医院で活躍出来る人材の幅が決まっていきます。
賢明な育て方が出来る人というのは、
自分自身も要求が厳しい状況を周りのサポートによって
乗り越えたことがある人です。
そのような経験を踏んでいるスタッフが先生の医院に
どれだけいてくれますでしょうか?
また、先生は困っているスタッフがいた時に、
その状況をサポートしようという視点がどれだけあるでしょうか。
実践会の経営塾ベーシックコースや、スーパースタッフ育成塾では
宿題などを通してこのような経験を積むことができます。
このようなマネジメント力やリーダーとしての姿勢が
今後は必須になってくると思います。
最後に
治療技術は知識として学んだ後に、
様々な症例を経験していかないと高まっていかないと
ある先生がおっしゃられていました。
人材育成に関しても私は同じだと思っています。
治療を適当にしてしまうと技術が高まらないのと同じように、
育成も自分の育成方法を省みずに、
相手に原因があると考えて同じように対応をしていると
マネジメント力やリーダーシップは身につきません。
しかも、患者数とは異なり、スタッフ数は限られてきます。
それほど多くのケースを経験できないという点が
マネジメントを難しくしています。
数ある求人の中から先生の医院を選んでくれたスタッフが目の前にいると思います。
1人1人と向き合い、先生のマネジメント力を高め、リーダーシップを発揮し
医院を更により良い状態へと導かれていくことを願っております。