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歯科医院地域一番実践会の五島です。
OMOTENASHI が流行語になったのが2013年。東京オリンピックも来年まで迫ってきました。
さて、歯科医院でおもてなしと言えば、だいたい接遇関係をイメージすることが多いです。また次のような構図が思い浮かびます。
接遇をがんばる
↓
患者さんの満足度が上がる
↓
リピートや紹介が増える
この流れ自体は大きくはまちがっていません。実際、『真実の瞬間』などの書籍を読んで「患者さんに素晴らしい体験をしてもらう」ことが大事なんだと学んだ方も多いと思います。しかし、スカンジナビア航空はその後、倒産しかけています。接遇や感動の瞬間というのはどこまで大事なのでしょうか。
神田昌典さん監修の『おもてなし幻想』には、単純におもてなしを礼賛することを否定しています。満足度を上げることは大切ですが、それ以上に満足を下げるようなことをしないのが重要というわけです。もう1度いいます。まず取り組むべきは満足度を上げる前に下げない努力。治療や処置の失敗が多ければ、いくらおもてなしを強化してももったいない。ザル状態ですね。
患者さんに対して二度手間(印象に失敗してもう1度取るとか、準備物が足りなくて必要のない待ち時間が発生するとか、患者さんから質問を受けたのに正しく答えられなくて先輩や先生に交代する必要があるとか)をかけるようなことがあると、感動を与えようとがんばるよりおよそ3倍のダメージがあることが示されています。ちなみに、ネガティブな口コミも3倍増えます。
治療以外で満足度下げない当たり前の努力の参考になるもとして、実際に全国で実施されている患者アンケートによると次のような結果が出ています。
・入り口の周囲が清掃・整理整頓されているかどうかを気にする →8割近くで圧倒的
・前の患者さんが触ったと思われる毛布など診療台やレントゲン室のものがそのままで置かれているのが気になる →5割以上
・診療台のそばの収納棚や手鏡に薬品の液体などが付着しているのが気になる →5割以上
・壁に貼ってあるポスターや写真などが一部がはがれている、色あせているのが気になる →6割以上
・本棚が乱雑が気になる →5割以上
・院内の植物や花に元気がなく枯れかけているが気になる →5割以上
(『C&C別冊 かかりつけの歯科医院を選ぶポイントは? <施設・設備編>』より)
このあたりはすぐに見直せますね(スキルや知識のアップにはどうしても時間がかかるので)。
なお、当たり前のことですが、満足度を下げないことをしていればOKというわけではありません。ここがスタートラインです。知識やスキルの習得をして、適切なおもてなしがあることで満足度が上がります。スタッフのマネジメントと同じで「給料払ってるんだからいいだろ」ではなく、適切な給与プラス適切なスタッフへの応対ができていてスタッフはモチベーションが上がるわけで、患者さんへも「きちんと本質的な治療や対処ができて、プラス快い対応」が必要です。