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みなさん、こんにちは、経営戦略研究所の横山光孝です。
日々、歯科医院にお伺いをして経営課題への取り組みを院長やスタッフのみなさんと打ち合わせしています。
この数ヶ月はコロナウィルスや非常事態宣言への対応やその打ち合わせに追われてきたと思います。
しかし非常事態宣言も解除となる地域も出てきたところで、業績を回復する医院さんが多数出てきています。
これら多数の医院には共通項目があります。コロナウィルスへの対応は非常事態宣言が解除されれば終了するわけではありません。
今後も対策の継続が必要ですし、秋から冬にかけて第2波への準備もしておくことも求められます。そこで今の段階で業績を回復している医院の共通した取り組みを把握しておくことも参考になると思います。
1.非常事態宣言が発令されると同時に経営に軸足を定めている
歯科医院は医療機関なので勿論、この非常事態に医療機関としての機能を損なうことは出来ません。
歯科医院の院長は
- 院長
- 経営者
- マネージャー
上記の3つの役割を果たすことが必要です。
この3つの役割の実施割合は、その医院状態や組織の成熟度によって変化します。
今、業績が回復している院長は非常事態宣言に向けて「経営者」の仕事へ大きくバイアスをかけています。
もちろん、診療やスタッフのフォローをおろそかにしていると言うことではありません。
診療、スタッフへのマネジメントは通常以上にやりながらも、圧倒的に経営者としての経営力を発揮しているのです。
経営力は決断力と実行力です。
悲観的に準備し、楽観的に実行する。合理的に判断し、情熱的に行動する
具体的には非常事態の状況の中、経営で最も重要なのはキャッシュです。
宣言と共に院長と打ち合わせをしたのは、キャシュストックです。
実はこのような状況では、売上昨対比とか損益計算書などはあまり関係ありません。
これらの財務諸表は平時に経営判断をする資料です。
戦時には資金繰表であり、損益分岐点安全余裕率です。
・収益率の高さ(ROIの比率)
・限界利益率の高さ(歯科医院は基本的に高いが、診療科目売上構成で変わる)
・手持ち現金資金
・金融機関との関係性
などを考慮しながら、今後の売上推移と3ヶ月後、半年後、1年後の資金繰表の作成、また損益分岐点売上を元にして、スタッフの休業基準などを合理的に決めていきます。
そうすることで、不安を煽る情報に惑わされることなく数値を元に決断し行動をする。
また資金繰計画によっては迅速に融資、補助金へのアプローチをすることで資金の確保が出来ます。
今回は4月に非常事態宣言であったために、新入社員の給与、昇給などが重なったので、より資金の見通しが重要な局面でした。
非常事態の状況、スタッフの不安やモチベーション、資金繰りなどを大局から見て判断をすることが出来るのです。
このタイミングで経営基盤の見通しをつけておけば、診療を縮小するか、スタッフに休業をしてもらうかなどに対しても多くの情報を収集して合理的に判断をしていくことが可能になってくるのです。
これが正解というのはなく判断も医院ごとに違ってきますが、経営に軸足をもった診療を継続した医院は非常事態宣言中も多くの新患、急患の対応をしていましたし、宣言の解除には多くの患者様が戻ってきています。
2.非常事態宣言中のキャンセル患者様へ段階的にアプローチしている
非常事態宣言の解除と同時に待ってましたとばかりに予約を促す連絡をするのは頂けません。
この時期にキャンセルをしている患者様は感染を心配してキャンセルをしているのです。
ですから歯科医院の感染予防対策の徹底、全国の歯科医院における感染の実態、口腔内のケアによる免疫力アップの効力などをメール、はがき、Lineなどでお伝えをしていくのです。
加えて、メンテナンス期間が空いているので口腔内のケア状態が心配ですので、しっかりとセルフケアをして下さいと連絡をしている医院もあります。
このように来院への手順を計画的に進めていくことで患者様に安心して戻ってきてもらうようにしていくのです。
3.今後の新しい診療体制を構築している
コロナ前とコロナ後で、以前と同じ診療体制をしていて以前と同じ業績を回復するとは考えられません。
業績が回復している医院は、すでに次の診療体制を構築しています。
オンライン診療、オンライン無料相談、オンラインカウンセリング、これらは医科クリニックでは既に多くなってきていますが、歯科診療でも矯正を始め、ホワイトニングや口臭治療でも取り組みを進めて出している医院があります。
これが正解というのはまだ、わかりませんが早めに決断・行動をしています。
まずは現状で、何を実施していくか検討していくことがスタートです。