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分院展開の方向性
こんにちは!
歯科医院地域一番実践会の萩原直樹です。
本日は分院展開に関してお伝えをしていきます。
「医院に拡大余地がなく、なんとかしたい…」
「良いスタッフがいるので次のキャリアステップとして分院を考えたい…」
「より多くの価値を提供するために分院を展開したい…」
など様々なご相談をいただきます。
分院を展開するにはどのようなことを考えるべきかをお伝えさせていただきます。
何を目標として展開するのか
目標設定の方向性で大きく取り組み方が変わってきます。
法人全体の医業収入をのばしたいのか
自分の専門分野を別の医院で行いたいのか
スタッフのキャリアステップとして新たな場所を設けていきたいのか
医業収入を伸ばしたいと考えた時に本当に現院長と同じ手技の歯科医師はいるのか?先輩DHと同じコミュニケーションスキルのDHは配置できるのか?
自分の専門分野を別の医院で行う時には現在の自費は維持できるのか?
新たなキャリアステップとして考えた時には明確な給与水準を事前に決めているのか?
上記のように考えるべきことが大きく変わってきます。
そしてそのひとつひとつの策は目標から逆算した時に明確になっていきます。
準備すべきは「分院という環境」が先なのか、
「十分に育ったスタッフが育った環境」が先なのか。
できれば後者の方が良いです。
採用条件がよく、人が辞めたとしても分院での採用力がある場合には別ですが、資金力がない法人でない限りは採用をしたら長期的な採用を目指していきたいところでしょう。
「分院ありき」で話をするのではなく、スタッフが行くべきステップがなくなった、一定時期になったら歯科医師が開業のために辞めてしまう、それぞれのチーフ能力があるスタッフを各医院のチーフとして雇用してあげたい、など明確な「人材ありき」で話を進めるべきです。
分院の場所
分院ができればもちろん医業収入は増えます。
またスタッフも本院スタッフを送り込むことができれば新規の医院でイチから人を育てるよりは短い工程で医院の体制を整えることができます。
ツールなどに関しても本院の資料を活用していけば良いのでこの部分でも手間を省くことはできるかと思います。
ただし、分院を本院より車で30分以上の場所に展開検討する場合には注意が必要です。新規の医院をイチから開業する時と同じ程度のマネジメント労力がかかります。
院長のもとではうまく働けている歯科医師も院長がいなくなった途端にうまく機能しなくなるケースが多数あります。
「態度が偉そうになった」
「人任せにして全然リードしてくれない」
「診療しかしてくれない」
それは当たり前です。いきなり分院長になったので、「分院長になること」を前提に数年修行をしていない限りは上記のようなことが起こっても不思議ではありません。
上記の言葉も実際に私達のクライアントでスタッフから聞く話です。
まずはあまり遠くに分院を展開するのではなく車で30分以内、距離としては15km圏内に医院を配置するとよいでしょう。
近くに分院を配置することは本院が本院スタッフを送りこんで分院フォローができるだけでなく、採用広告としても地域一帯に募集をかけられることがメリットになる時があります。例えば採用枠2枠に対してとても良いスタッフが3名以上来てしまった時に本院に案内することもできます。
そもそも本院での歯科衛生士の採用が難しい場合には近くに分院を展開するのは更に人材確保が難しくなるため、あえて都会で一定数の人口がいる地域または歯科衛生士学校が展開している地域を選択していくとよいです。
より都会方面の分院展開では競合は増えるものの、採用難易度が高い歯科医師の採用で成功しているケースが実際にあります。
分院組織をマネジメントするためには
難しいのは分院における「組織マネジメント」です。
今まで本院で見ていたスタッフが分院にはいないため、分院で核となるスタッフを本院で育てておかないといけません。また本院と分院で異なる言語を作ってしまうと良くないため、マニュアルやカリキュラム、院内ルールの作成は必須となります。
※まだ院内のマニュアルがない方はこちらにご参加ください。
またマニュアルなどに関してもスタッフが携帯で更新する時代となってきました。紙のマニュアルを作成しても誰も見ていないようなことがある場合には携帯でマニュアルを更新できるウェブマニュアルを活用できると良いです。特に新人のスタッフがイチからパソコンの入力方法を覚えてマニュアルを更新することは難しく、結局チーフスタッフが修正を繰り返すことになってしまいます。
※地域一番実践会にはオリジナルのウェブサービスがありますのでご興味がある方はお問い合わせください。
本院の中では分院を展開するにあたって、どのようなことが必要なのかを事前に整理しておかないといけません。
分院を展開しようと考えてからは必ず【分院立ち上げチーム】を作成して、いつでも情報が共有できるクラウドサービス(Google Drive等)を活用していくと良いです。
情報共有は分院が出来てからは必須となります。
どのようなアポイント状況であったのか、各スタッフはどのように動いているのか、最初は細かく振り返りをしていく必要があります。
本院でコアとなるスタッフが教育できる状態にしておき、その準備が整ってから分院を展開していきましょう。
とりあえず「土地があったから」、「テナントがあったから」分院を作ったという事例は多数ありますがその際に失敗することの方が多いです。スタッフのほとんどが退職してしまっている例が後を絶ちません。
分院の数値集計を担うのは本院
本院は分院に代わって、数値集計機能を担うようになりますので事務機能の拡充も必要となります。特に立ち上げ時は分院チームには「診療体制の構築」に力を入れてもらった方がよいです。最初から数値の集計、スタッフマネジメント、医業収入アップなどを求めた場合に、これから自立する分院長という自覚がないままで働いてしまっている代診だと一気にモチベーションがさがり退職する可能性も出てきます。
分院展開で代診の方にとって嬉しいのはサポート体制です。
コロナ渦で自分で開業をするという代診も減ってきています。
また、残念ながら経営をよく学ばずに開業をする先生が失敗するケースも増えています。
自分がどのように働いたほうが良いかを考えた時に「分院長」として大きな借金を背負わずリスクオフで安定して働けることも魅力のひとつになってきています。
その先生方が考えるのは自分のキャリアです。
どうしても自分の特定の治療がしたいから独立したい!
という先生は正直少ないです。
このままだと先が見えない。。。
もっと稼げると思う。。。
周りが開業して羽振りがよく見える。。。
など感情面で考えることが増える時に独立を選択肢として取り入れます。
本院がどのようなサポートをするのか、またその後でキャリアやお給料がどうなるのかを明示することができれば代診は分院長という道を選ぶ可能性が高くなります。
ただ、分院展開をしようと考えていませんか?
しっかりと準備すれば成功の確率が高い分院。
正しい分院展開を目指していきましょう。