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皆さん、こんにちは。歯科医院地域一番実践会 地域一番化マスター 岩渕龍正です。
ここ数年、歯科医院地域一番実践会が新規開業コンサルを始めたこともあり、継承の相談も増えております。
継承というのは本当に難しいですね。
継承自体は親も、引き継ぐ子供側の初めてのことであり、お互いの主張がぶつかり、対立してしまうことが多いのです。
何が正しいのか難しいですが、また、別の機会に詳しく解説したいと思います。
先日、ご相談があったケースでは実家の医院に戻った10年ぐらい前には、新患数が月50人ぐらいいたそうです。
しかし、この10年ぐらいの間、息子さんとしては頑張って、目の前の診療に取組んできたものの、新患数が次第に減っていき、今では月間10人前後の状況になってしまったのです。
実は、このようなことは結構、あります。
これが息子さんが戻ってからでも起こりますし、息子さんが戻る前に10年ぐらいの間に急激に新患数が減少し、息子さんが大学に行く前までは新患数が月50人ぐらいいたものの、歯科医師になって5年ぐらい経過して、実家に戻ることを考えだしたころには、新患数が月10人前後になってしまっていた。
なぜ、このような事が起きるのでしょうか?
大きく分けると2つの要因が考えられます。
親の医院の新患数が減少する最大要因1.目の前の診療だけを一生懸命、やっている
診療は真面目に、一生懸命、やっているのです。
しかし、新患数が減少していく医院の大半は診療だけを一生懸命やっていて、マーケティングの取組が非常に弱いのです。
ホームページがないか、あっても情報が少ない。
10年以上前のホームページ。
これでは、新患数は増えません。
いや、減っていきます。
しかし、10年前の新患数が月50人いたことで、油断してしまい、そのまま、何もしていなかったことで、地域の中で、新しい歯科医院が開業するなどして、選ばれなくなってしまっていくのです。
親の医院の新患数が減少する最大要因2.街の人の流れが大きく変わる
これが一番、大きいかもしれません。
親が開業した40年ぐらい前は、親の医院の立地は悪くないことが多いのです。
しかし、この40年間で街の人の流れが変わってしまうことが多いのです。
例えば、駅前にあり、非常に良い場所だったのが、モータリゼーションが進み、電車を利用する人が減り、今では、車を持ってない高齢者しか駅を利用する人がいない。
以前は、医院の前をたくさんの人が歩いていたのに、今では、ほとんど誰も歩いてない。いても、高齢者だけ。
このような状況では、医院の場所自体は変わってないものの、医院の立地としての価値が下がることで、医院が認知されることが減少し、要因1のマーケティングの不足とも重なり、地域の中で40年前から開業してるものの、医院の存在を知ってるのは高齢者だけ、最近の若い世代の人は誰もしない。
だから、患者さんは高齢者しかいない。その高齢者も体調の悪化などに伴い、減少していく。
という流れになるのです。
後は、以前は良い場所だったんだけど、近くに大きな道路が開通し、そちらがメインの通りに変わってしまったということも結構、あります。
それによって、医院の前が閑散とした状況になってしまう。
これは結構、あります。
先日のご相談のケースでも、上記の駅前のケースであり、かつ、この10年ぐらいの間に、駅の反対側にメインの道路ができてしまい、駅前ではなく、その新しい道路沿いに大きな店舗が集まったことで、完全に人の流れが変わってしまったのです。
このようなケースでは、その流れを早い段階で察知し、早くに新しいメインの通り沿いに移転するのがベストだったと思います。
しかし、親から継承した当時、新患数が月50人もいると、移転をする必要もないので決断が難しかったのだと思います。
また、家賃も必要ない、開業資金も必要ない、何のリスクもなくやってきた親の医院で、わざわざ、5千万から1億もの投資をして、移転する決断が出来なかったのだと思います。
その間に、茹でガエル状態で、気づけば、新患数は10人前後に減少してしまったのだと思います。
今からでも、もっと良い場所に移転するのがこれから20年以上も続く、自身の開業人生にとってはベストだと思いますが、なかなか、難しい決断なのかもしれません。
継承時の新患数が10人前後しかいないケースも難しいですが、継承時の新患数が50人前後の医院も難しいということです。
継承は難しいので、しっかり経営的な取組みや勉強をしたうえで行うことをオススメします。