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皆さん、こんにちは!
歯科医院地域一番実践会の井ノ上です。
とある方の推薦図書として、「こうして社員はやる気を失っていく」という本を読みました。歯科医院でも当てはまることが多々ありましたが、特に社員の「主体性」がやる気と密接に関わっていると記載がありましたので、そこについて抜粋して紹介したいと思います。
本書の中で“社員が主体性を発揮できる仕組みや制度を整えることが大切”とありました。歯科医院で働くスタッフで考えると、この主体性を持ったスタッフ、もしくは主体性を養う環境がある医院は、限りなく少ないのはでないでしょうか。
というもの、診療業務は基本的にルーティンワークに近く、各医院の決まったやり方、もしくはマニュアルに則ってスタッフは業務を遂行しています。その中で、主体性を発揮する機会があるのでしょうか?なかったとしたら、スタッフはやる気を失いつづけしまうことになります。
つまり、スタッフ自ら考えて行動するための仕組みは業務マニュアルでは不十分だということになります。マニュアルはあくまで、個々のテクニカルなスキルアップや医院での業務遂行を補助する役目が大きいものです。
スタッフが患者さんのため、医院のために何をすべきなのか自ら考え行動するには、まず、医院としてのスタッフのあるべき姿が明確になっていることが前提にあります。そして、あるべき姿がスタッフに共有され、浸透していること。
その「あるべき姿」を道しるべに、スタッフが日々の診療の中で自らの成長できる行動を模索して主体性を発揮していく形になるのではないでしょうか。
「あるべき姿」は医院理念やクレドを元に創り上げることが多いですが、“関わるすべての患者様を幸せにする”や“常に感謝の気持ちを持つ”など、抽象的な概念になるので、スタッフは何を目指せばいいのか、何をすればいいのか迷子になってしまいます。そのため、ここから、より具体的な行動へ落とし込む必要もあります。
そこで行動指針という規約を作っていくわけですが、行動指針も医院理念、クレドがあってはじめて成り立つものです。行動指針から作ってしまうと、土台も柱もなく家を建てるようなものなので、規約自体がぶれてしまいます。
また、行動指針を作るにしても、医院理念やクレドを元にスタッフと一緒に理想のスタッフ像を考えながら、作り上げていくと上手くいきます。
主体性の話に戻りますが、主体性を発揮できる条件として、「何を・いつ・どこで・どんな方法で・誰と」を自ら決定できることが重要ともありました。
通常の診療だと、決められたことをやるだけ、言われたことをやるだけではないでしょうか?これだと主体性を発揮する機会を狭めてしまいます。また、指示したことしかできない、指示待ち人間の完成です。
そうならないように、ある程度はスタッフ自身に仕事の裁量を与えることが必要になります。院長はすべてを自身で決めたいと思いますし、決めた方が早いし、間違いないとは思います。そこをぐっと堪えて、スタッフの成長、主体性を養う機会と捉えて、すでに決まっていることでもスタッフの意見を聞いてあげる、そして意見を組み入れてあげる。そういう姿勢をとるだけでも、スタッフは医院の取り組みに対しての当事者意識が生まれ、そこから主体性が発揮されることにつながります。
「主体性」というキーワードを軸にお話しましたが、一度、みなさんの医院でもスタッフの主体性が発揮できる環境が整っているのか、ぜひ考えてみてください。やる気のないスタッフ、モチベーションが低いスタッフがいる場合は、そのスタッフに主体性が欠けているかもしれません。そして、それはスタッフの主体性がないことに問題があるわけではなく、医院の仕組みや制度に問題があると視点を変えて見直してみる機会にしていただければと思います。