自費が伸びない、、、エリアのせいにしていませんか?

自費率とリコール率

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皆さん、こんにちは!

歯科医院地域一番実践会 コンサルタントの平社雄一です。

 

自費を伸ばしたいと考える医院は多くあります。しかし、その成長が思うようにいかず、院長先生がつい

「うちの地域は人口が少ないから」

「このエリアは所得が多い地域じゃないから」

と嘆いてしまうケースは少なくありません。

しかし、本当に地域の特性だけが原因で自費診療が伸び悩んでいるのでしょうか?

もちろん、人口が非常に少ない地域や平均所得が極端に低いエリアでは、患者様が選ぶ治療の選択肢も予算的に制限される可能性はゼロではありません。ですが、多くの場合、地域要因ではなく、医院運営の方法や患者様に対する情報提供の在り方に改善の余地があるケースがほとんどです。

今回はエリアに関係なく、「タスクシフト」「タスクシェア」という観点から自費を伸ばしていく流れを記載していきます。

自費診療が伸びない本当の理由

これまでの人生で、「相手の立場になって考えてみて」と教わった、誰かに教えたという経験をほとんどの方が持っていると思います。

ただ、自分自信でどこまでできているでしょうか?

「自費診療を選ぶ理由」を、患者様の視点で改めて考えてみるここをどこまで深堀りできるかが極めて重要です。

歯科治療に関しての知識は、基本的に患者様はほぼ何も知らないと思ったほうがベターです。保険と自費の違いや、それぞれのメリット・デメリットが分からないままですと、「今まで通りの保険治療でいいか」となりがちです。
自費診療を選んでもらえない理由の多くは、

「価値が分からない」

「必要性が伝わっていない」

「疑問を解消できていない」

など、患者様の理解不足に起因している可能性が高いのです。

つまり、自費が伸びない原因は「エリア」よりも「医院がどう患者様に情報提供し、納得していただいているか」に大きく左右されます。

患者様への情報提供の重要性

自費治療は価格が高額になる場合が多いため、患者様にとっては一大決心を伴うこともあります。高価な買い物や契約をする際、人は「なぜその価格に見合うのか」という明確な根拠を求めます。
例えば、

  • むし歯は再発しないか?
  • 治療期間や耐久性の違い
  • 治療後の審美的メリット

これらを丁寧に伝え、「価格」と「価値」を結びつけることで患者様は安心して選択できるようになります。これは単に「高品質だから高い」ではなく、「この治療を受けることで長期的にこんなメリットがある」ことを具体的に示すことが重要です。

 

説明は院長だけで完結しない

ところが、多くの歯科医院では治療説明や自費プランの提案を院長先生だけが担っていることが珍しくありません。院長先生は診療の主役ですが、同時に医院経営全体を見たり、スタッフマネジメントも行ったりと、多忙を極めます。

忙しい合間を縫って患者様への説明を行ったとしても、一人の限界は明らかです。患者様とのカウンセリング時間を十分に確保できなかったり、説明する際にスタッフがフォローに入れず連携が取れなかったりすると、患者様に十分な情報を提供するのが難しくなってしまいます。

結果として、患者様には「詳しい話がよく分からない」「説明をじっくり聞きたかったけど機会がなかった」という状態になり、自費治療の価値を十分理解していただけないまま保険診療を選択されてしまうのです。

 

タスクシフト・タスクシェアとは?

ここでキーワードとなるのが「タスクシフト」「タスクシェア」という考え方です。

昨今、大変注目を集めている「タスクシフト」と「タスクシェア」。今後歯科医院の経営において、この2つを考えながら診療を回すことが確実に必須となります。

今回のブログではここが最も重要になります。

 

タスクシフト:特定の人(ここでは院長やDr)が担う業務を、他のスタッフに移行し、院長の負担を軽減、院長一人ではやりきれない取り組みを進めること

 

タスクシェア:複数人で業務を分担し、互いにフォローし合いながら作業効率や品質を高める方法。

 

院長先生やDrが患者様に1~10まで説明できれば良いのですが、歯科医院ではそこまでやってられないというのが実情です。タスクシフトでは、院長先生がすべての自費診療の説明・提案を行うのではなく、TCや歯科衛生士、歯科助手などが主体的に患者様対応を行うことで、結果的に患者満足度や自費率アップにつなげます。

 

多くの歯科医院ではこのタスクシフト・タスクシェアが出来ていないが故にベストな治療方法を患者様が選ばずに(そもそも提案できていない)、自費が伸びない→エリアのせいだとなってしまうのです。

 

タスクシフト・タスクシェアを活用するメリット

では、タスクシフト・タスクシェアを実践すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

  • 患者様に十分なカウンセリング時間を確保できる

院長先生のアポが常に埋まっている場合でも、TCや歯科衛生士がカウンセリングをすれば、患者様とじっくり向き合う時間がつくれます。

 

  • 専門性を活かした説明ができる

院長の治療を勤務医にタスクシェアすることで、インプラントや矯正等の治療の説明を院長が時間を使ってできるようになる。

 

  • 院長の負担を軽減して治療の質を向上

説明やカウンセリングに割く時間が減れば、院長先生は診療に注力でき、結果として治療の質や医院全体のサービスレベルがアップします。

 

タスクシフトでTCが月間2200万上げている医院さんもあるほどです。

自費アップを実現するスタッフ連携のポイント

タスクシフトやタスクシェアを行う上で大切なのは、「正しい知識の共有」と「スタッフ間の連携」です。

 

  • 定期的な勉強会や情報共有
    外部セミナーに参加するのがかなりお勧めですが、外部セミナーに参加する文化がない医院にとってはハードルが高いと思います。その場合、まずは院長先生が中心となり簡単な症例検討会等を通して、基礎知識から応用編までをスタッフさんにレクチャーしていくことが良いでしょう。全員が共通認識をもつことで、自費治療に関する一貫した説明が可能になります。

 

  • マニュアル化とシナリオ作り
    自費治療を説明する際の「基本シナリオ」や「よくある質問への回答集」を作っておくと、スタッフが迷わずにスムーズな提案を行えます。ただし、マニュアル一辺倒ではなく、患者様個々の悩みやニーズをしっかり聞いた上でカスタマイズする柔軟さも必要です。

 

  • TCの配置
    カウンセリングに注力できるスタッフ(TC)を中心に据え、患者様一人ひとりの治療計画を親身に相談に乗っていく体制を構築すると、患者様との信頼関係が深まりやすくなります。

 

一人でできることには限界がある

どうしても医院の経営者である院長先生は「自費率アップのために自分が頑張らなければ」と考えがちです。しかし、すべてを一人で担うには時間も労力も限界があります。

また、患者様へ十分な情報を提供するには、治療内容の専門知識だけでなく、患者様が抱えるライフスタイル上の問題点や、治療に対する心理的ハードルへの対応まで必要です。

多角的なアプローチをするには、スタッフ全員がそれぞれの得意分野を活かし、協力し合うことが欠かせません。

「地域柄」という言葉で片付ける前に、まずは「組織として患者様と向き合う体制が整っているか」を見直してみることが重要です。そのキーワードが「タスクシフト」と「タスクシェア」なのです。

まとめ

自費診療がなかなか伸びないとき、真っ先に「エリア」を理由にしてしまうのは簡単です。しかし実際には、患者様に十分な情報提供ができていなかったり、院長先生が一人で説明を抱え込んでしまっているために、患者様が自費治療のメリットを理解しきれていないケースが多いのです。

人口や所得に左右されない医院づくりの鍵は、「タスクシフト・タスクシェア」による組織的な体制です。院長先生のタスクをスタッフに移行・分担し、専門知識を共有しながらカウンセリングや提案を充実させることで、より多くの患者様に自費治療の価値を理解していただけるようになります。

一人で上げる成果には限界があります。医院全体で連携し、患者様への理解を深めてもらう施策を継続的に行うことで、結果として自費診療を選んでいただける患者様が増えていくはずです。

ぜひ「タスクシフト・タスクシェア」をキーワードに、自院の体制を見直してみはいかがでしょうか?

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