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こんにちは!
歯科医院地域一番実践会の萩原直樹です。
今回のコロナ環境下ではコミュニケーションをどのように行うか考える必要が出てきました。
ここで言うコミュニケーションは院内・院外をともに指します。
患者様だけでなく、院内のスタッフともどうコミュニケーションをとっていくかが医院全体の士気を左右します。
コロナ感染拡大が広がって早3ヶ月、医院の雰囲気は大きく様変わりしました。
対策を徹底して行っている医院は安心感は増しましたが、医院においてのコロナウィルスに対する戦々恐々とした意識が全員に伝わり、明るい対応の医院が静かな無言の医院へと変わりました。
一方で同様に安全な環境(手袋・フェイスシールド・ゴーグル・ガウンなど着用)を確保できた歯科医院ではこの環境下でどのように声を張って話をするか、わかりやすく説明するかを考えていました。
あなたの医院ではどのような対応をとっていますでしょうか。
コミュニケーションの変化
ウィルスという目に見えない敵がコミュニケーションのとり方が大きく変えています。
歯科医院に出勤したとしてもなるべく会話をしないようにして、患者様の説明も最低限。
笑顔すらマスクで見えず、唾液飛散しないように声も少なめ、フェイスガードをして声も届かない、そんな環境で院内の雰囲気はどんどん悪化していきます。
もちろん患者様が受ける印象も変わってきます。最低限の説明があり、治療をされるだけ。
すると患者様の次回の治療に対するモチベーションは下がっていきます。
一部のマスコミが歯科医院の治療は不要不急と言われましたが、実際はそんなことはありません。
口腔ケアをすることが感染の水際対策になります。
しかし、その報道を見た後に静かで説明のない歯科医院に来院するうちに「やはり危険なんだ」と患者様は感じてしまうことでしょう。それは言葉に表さずとも雰囲気で感じとってしまうのです。
だからこそこんな環境下では安全にコミュニケーションがとれる環境を確保した中で歯科医院に来ることの重要性を伝える、資料を見せる・渡すなどを行うべきなのです。
モニタースライドで対策情報・口腔ケアの重要性を流す、ホームページにコロナ対策を掲載する、歯科医院で患者様からの感染がないことを伝える、など積極的に情報提供をすることが必要です。
環境に流されて大切なコミュニケーションをおろそかにしていませんか?
コロナという外部要因により私達はコミュニケーションのあり方を考えざるを得ない状況になっています。
学び方の工夫
またセミナーにおいても会場で受ける機会からオンラインで受けるようになり、全く同じ内容であるのにも関わらず参加するスタッフの意識によって理解度が全く変わってしまいます。
セミナーに関してはオンライン参加をするのであれば必ず勤務地である歯科医院で受けた方がいいです。
何で会場に行かないのに歯科医院にいかないといけないのか?と質問を受けると思いますが、環境が学習度を変えます。家で受けるのと、勤務先で受けるのでは学習度は雲泥の差です。
自宅の場合は周りには自分がリラックスできる障害・ノイズが発生しています。
自宅なのでコーヒーを入れながらセミナー受けるか
なにか口寂しいからお菓子でも食べながら聞くか
など普段のセミナーではしないことであっても自宅だとしてしまうのです。
セミナーにおいてはオンラインの場合もいつも通りセミナーに行く服装をして、受講することをおすすめします。オンラインセミナーの受講に関しては医院で基準を設定して共有することです。
またオンラインセミナーの場合は受講後にレポーティングや全体に対する共有を必須にすると学び方が変わってきます。
院内コミュニケーションをどう考えるか
コロナ対策はやり始めたらキリがありません。滅菌対策と同様です。
どこまで言っても正解はありません。
そうするとランチは別々にとり、一言も話さず壁を向いて食べてしまっていることもあります。
さすがにここまでしては徐々に雰囲気が固くなっていきます。話をしてはいけないという思惑が医院全体を包みます。特にこの時期に入社した新人は先輩とコミュニケーションをうまくとれず、まだ社会人になりきれず、愚痴不平不満文句なども言うことがあるでしょう。
そこで医院においては安全なソーシャルディスタンスをとったうえで食事後にマスクをしたうえで会話をする時間を設けた方がいいです。コミュニケーションは医院を活性化させます。
一人になり、お昼の時間に携帯を触り始めるスタッフが非常に多くなりましたが医院全体のムードととしてはよくありません。
会話は密集をせずに個別でよいです。話をすることにより組織の一員としての認識が高まり、組織の中にいる安全性も感じることができるのです。
医院の中でも「自粛警察」と呼ばれるスタッフが発生し、会話をしていることすら批判する人まで出てきて、益々雰囲気は悪くなっていくでしょう。
ちなみにマイナススタッフはこの時期に大きく存在感を出すようになります。
「~しない方がいい」「これは危険」「他はそんなことしていない」
などと発言することにより周りは徐々に引き込まれていきます。
このような時期では今後どのような展開を歯科医院はしていくのかを明確にスタッフに伝えていくとよいです。
そこで注目されるのがシナリオ・プランニングという戦略設計です。
シナリオ・プランニングとは…
シナリオ・プランニングは将来をただ考えるのではなく、将来発生するであろうシナリオをいくつか考えておき、それぞれのシナリオに対する手法を検討する方法です。
ひとつの未来だけでなく、いくつか発生するであろう未来を考えることによって、発生してから問題を対処するのではなく、すでに未来に対する洞察を得ている状態にするということです。
シナリオ・プランニングはただ予想するのではなく、どのように行動をするかを考えるものです。
政府が行うコロナウィルス対策で批判を浴びているのは対策が後手に回っていたり、見解がコロコロ変わってしまうからです。
シナリオ・プランニングではまず最初にテーマを決めることが重要です。
そこに時間枠を設定していきます。
たとえば、コロナを中心としたテーマで時間軸で考えると、
2020年のコロナ環境下でつくれる医院像は?
2021年ウィズコロナ時代を過ごしている医院像は?
2022年アフターコロナ時代でどう生まれ変わっているか?
などです。
特にコロナによって未来に大きな変化を与えるのは外部要因(政治・経済・社会・法律・技術など)です。これらは歯科医院単独ではコントロールすることが難しいのでこのようなシナリオになったらこう対応すると決めておくべきです。
また各発生する内容を
インパクトが大きい・小さい
確実性が高い・低い
の2軸でマトリクス(図表)においていきます。
まずはインパクトが大きくて、確実性が高いものからどのように対応するのかシナリオを決めたほうがいいですね。
(例:コロナではないけど微熱の下がらないスタッフが発生した場合の対応方法)
そしてインパクトが大きいが、確実性が低いものに関してもシナリオを決めます。
(例:スタッフがコロナに感染した場合の対応方法)
またシナリオ・プランニングで重要な点はこのようなシナリオを幹部やチーフクラスが理解し、事業環境の変化に適応しようとすることです。
多くの医院ではまだ院長先生だけが苦しみ、悩み、他のスタッフが寄り添っていない様子も見受けられます。
将来発生するリスクに対する行動の遅れは準備はもちろんのこと、行動の意味づけをスタッフにできていないから発生することなのです。いかに院長先生がスタッフを巻き込み、スタッフ自身が医院を動かす主体的な一員なってもらえるかが鍵です。そのためにもミーティングや面談はとめてはいけません。オンラインでもよいので行ってください。
今回のコロナ環境下は「学習型の組織」になるチャンスでもあります。
一方で、全てを環境に委ねる受動型の組織になる可能性もあります。
毎日の発言、行動、想定したシナリオに沿って実践をしてみましょう。
未来は院長先生の判断によって変わってきます。