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みなさん、こんにちは!
歯科医院地域一番実践会の萩原直樹です。
今回は材料費高騰と今後の対応に関して話をしていきます。
材料費の高騰!今後どうなる!?
ロシアによるウクライナ侵攻により、パラジウム合金の価格が高騰しています。パラジウムはロシア産が多いのです。今後もパラジウム価格は一定の幅(レンジ)で上がったり、下がったりはするものの戦争が終結し、次の展開になるまでは現在の価格幅は維持されるでしょう。
歯科材料・金銀パラジウム合金は4月の基準材料価格改定で3,149円/gだったものが5月から3,413円/gへとなります。グラムで264円もあがり、グラム単位で8.3%も上昇しているのです。ここで特筆すべきはグラム単位ということです。インレー→アンレー→クラウンと大きくなるたびに原価は上昇していきます。その上昇についてくる保険点数はごくわずか。
診療報酬は5月1日から上昇することになりました。窓口負担が3割の患者様の場合、大臼歯にパラを入れる一般的な治療を受けると、診療報酬は現在の約2100円に約180円上乗せできるようになります。それでもたった180円程度です。国としては「原価の上昇8%に合わせて診療報酬8%アップしています」と言うのかもしれませんが、上記のパラジウムの上昇は1グラムに対してのアップ率なので使用量が増えたら全くたりません。
保険診療なので3割なので3倍したとしても540円程度。
保険診療に向き合う機会に直面しているのかもしれません。
チタンのかぶせ物も保険適用となっていますが、CAD/CAMインレーの保険適用などの流れを受けて脱金属の流れがでてくることでしょう。
まだ第二大臼歯に対するCAD/CAM冠の治療に関しては、金属アレルギーと診断されない限りは健康保険が適用されません。
しかし、将来的にはCAD/CAMは第二大臼歯にも適用される可能性は非常に高いと考えます。
保険制度に振り回される診療
今後も金銀パラジウム合金の仕入れ値より、保険点数の値段が低い状態は続くでしょう。
歯科医院は保険診療だけしていれば良いという時代は終わりになります。
患者様に対しての説明はもちろんしなくてはいけませんし、経営のことを考えて自由診療を取り入れる必要がでてきています。
保険診療に原材料の高騰(パラジウムなど)が絡む限り、治療すればするほど赤字経営を突き進むことになります。
一般的な保険診療中心の歯科医院の場合は1カ月で数百グラムのパラジウムを使う可能性があり、原価を無視しながら治療を続けることは難しくなります。
保険診療においてはメイン治療となっているのはまだまだパラジウムを用いた治療です。
マイナス分を補填しようと数を回すような診療をすると提供できる診療の質が下がる可能性も出てきますのでお勧めはできません。
しっかりとするべき説明
患者様のためにもしっかりと説明をして、ご納得をいただいたうえで自由診療を選んでいただき、ベストな治療を提供することが最重要です。
大前提としてどんな方にも随時カウンセリング・説明を実施することは必須となります。最低限チェアサイドにおける説明であっても行うべきです。
多くの医院ではまだまだ「保険診療と自費診療の違い」に関して話をしていません。具体的にどう違うか患者様に理解していただく必要があります。
弊社のセミナーに参加をしている医院であればTCがいて、カウンセリングスペースがあることは当たり前なので、説明をすることは難しくないかもしれませんが、上記のような人材、スペースがない医院の方が多いのが実情です。
下記ができているか今一度確認をしてみてください。
☑ アポイント枠においてはカウンセリング枠を確保しているか
☑ TC人材を育成できているか
☑ 説明できるツールを十分か
経営が安定している、または常に向上している歯科医院では症例写真を見せることを徹底しています。
良い症例だけでなく、リスク症例も適宜見せることによって患者様の意識をあげていきます。
保険診療の限界を感じながらも現状に甘んじるのではなく、人財教育を経て自分だけではできないチーム診療を実現することを考えた方がよいです。
材料費よりも研修費へ
材料費が高騰している中で歯科医院として考えるべきことは人財教育です。
人を育てることを必ず毎年行うことです。
研修に関しては年間計画を決めて、どのタイミングで各年次のスタッフをどのようなセミナーに参加させるか決めておいた方がよいでしょう。
未曽有の事態が起き、環境が変わっても、医院の力が衰えない歯科医院は組織にいる人財力が高く、それぞれが強固に結びついています。
今回の戦争のように今後も私たちが想像もしないことがたくさん起きるかもしれません。むしろ起きると考えた方がよいでしょう。
地震、超高齢化社会、円安、外国人の移住などなど。
今後、歯科医院業界でもDXが進み、人が介入する意義を再度問われていると思います。
受付業務・支払業務・アポイント設定・治療説明等、本当に人がするべきなのか。
もちろん人がするべきなのですが、それが全く愛想のない人だった場合にはシステムで対応した方が患者様にとっては好印象かもしれません。
人の教育はすればするほど残っていきます。
怒られない、叱られない、自分の道を進む人が増えている中で医院に対して前向きに考えている人はどれだけいますか。
今一度人財育成を考えてみてください。
また、人財育成を考える上では人事評価制度が整っていることが必須です。
医院が一定の方向性に沿って成長する仕組みを構築していきましょう。