その実家の歯科医院は本当に継承する価値があるのか!?

歯科医院経営ブログ

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皆さん、こんにちは。歯科医院地域一番実践会 地域一番化マスター 岩渕龍正です。

先日、ある歯科医院の院長先生から、このようなお話を伺いました。

「岩渕さんの継承に関するYouTubeの動画を見て、泣きました。
あまりに、自分の状況と岩渕さんが言ってることが同じなので衝撃でした。

それがあまりに衝撃的すぎて、気づいたら涙が流れてたんです。
自分が今まで、親と一緒に何とか上手くやろうと頑張ってきたことは一体、何だったんだ?という思いと、やっぱり、親と一緒にやることをある程度の段階で諦めて、自分で医院をゼロから始めて良かったんだという自分のやってきたことは間違ってなかったんだという安心感で、感情がぐちゃぐちゃになって気づいたら、泣いてました」

そうなのです。
歯科医院の継承というのは周りが思ってるよりも、ずっとずっと難しいのです。

しかも、継承する親も、継承される子供も、お互いに初めての経験だし、周りに継承について相談できるような人もいないので、ほとんどの継承が何となく、自己流、思いつきで間違った継承をしているのです。だからこそ、継承は間違った結果が出やすいのです。

継承に比べると、新規開業はサポート体制も充実しています。
ディーラーさん、税理士事務所、ユニットメーカーなどなど、数多くの業者さんが動いてくれ、サポートしてくれます。
しかし、継承にはそのようなサポートは期待できません。

なぜなら、新規開業には今では、最低、5千万円以上のお金が動きますが、継承の場合、既存の設備も使えることが多く、大した金額が動かないため、誰もサポートしてくれないのです。

更に、継承の場合、たくさんの問題があります。
特に、親の医院が1日患者数10人前後しかいないような、経営的には継ぐ価値がないパターンの場合、問題が山積みです。

・1日患者数が少ない
⇒1ヶ月の新患数も10人前後
⇒レセプト枚数が100枚前後

・患者数が少ないのに意外にスタッフがいたりする
⇒暇なことに慣れきっているため、何かやろうとすると、反発しかしない、文句しか言わない
⇒そんなやる気と能力がないスタッフには辞めてもらったほうがいいけど、父親が口出ししてくる

・自費なんかほとんどない

・外観、内装、設備が老朽化していて、いかにも昔ながらの歯科医院になってしまっている
⇒患者さんもいないので、地域での評判が悪くなっている
⇒これらをやり替えようと思うと、移転したほうが早いし、安い
⇒移転するとなると、既存の医院から半径3キロ圏内にしないといけないので、自分が理想とするような立地を選ぶのが難しい
⇒移転するとなると、新規開業とほとんど同じお金がかかる
⇒だったら、最初から、親の歯科医院の場所にこだわらずに新規開業すればよかった

・親がなにか新しいことをしようとすると反対しかしない
⇒反対するだけで、何か良い案があるわけではない
⇒そもそも、良い案があるのであれば、最初から1日患者数10人前後のボロボロの歯科医院になってない
⇒親の借金があったりすることが、実家に戻ってから判明したりする
⇒そのクセ、悪いと思ってない
⇒経営者としての力量がないから、医院がボロボロになってるのに、色々と口出しし、反対してくる
⇒医院の実態を知られたくないからか、決算書などの詳しい資料を見せてくれない
⇒まだ、立場上は親が院長なので、スタッフも親の言うことしか聞こうとしない

このようなことが頻発するのです。
これに該当することが多い継承のケースがほとんど、もしくは、ほぼ全部当てはまってることも結構、あるのではないでしょうか?

私が思うに、子供が親に対して、親が子供に対しての過信があるのではないかと思うのです。

親⇒子供への過信
・子供なんだから、医院を継ぐのが当たり前
・子供の歯学部にかかった学費のせいで借金ができたんだから、子供が借金も含めて継ぐのが当たり前
・子供なんだから、親の言うことを聞くのは当たり前

子供⇒親への過信
・親なんだから、歯学部の学費を払ってくれて当たり前
・親なんだから、自分の利益よりも、子供の利益を最優先してくれるのが当たり前
・親なんだから、子供にとって最善の方法を考えて、行動してくれるのが当たり前

しかし、私はこれらの大前提が違うと思うのです。

親は子育て中は子供のことを最優先に考え、自分の利益よりも子供の利益を最優先してきたと思います。
しかし、歯科医師になってからは、同じ立場、近い立場だからなのか分かりませんが、

子供よりも自分の立場
子供よりも自分の収入
子供よりも自分のやりたいこと
子供よりも自分が採用したスタッフ

これらのことを親が子供より優先しているケースが多いのです。
8割位の親がそうではないでしょうか?

これにハマってしまうと、なかなか、抜け出せないし、自分の人生の貴重な数年間を無駄にしてしまう可能性が高くなります。
私が数多くの新規開業、継承のケースを見ていて思うのは人のエネルギーというのは無限ではなく、自分が新しく始める5年間ぐらいが一番、エネルギー量が多い、つまり、頑張れて飛躍できるときだと思うのです。

しかし、継承はこの人生でも最も貴重と言っても過言ではない、最も頑張れる5年間が親の医院でくすぶってしまうことが多いのです。
この5年間をくすぶったまま終わってしまうと、継承が終わって自分が院長になってから、移転開業して自分の好きにできるようになってからも頑張れないことが多いのです。

なので、親なんだから、自分のことを本当に考えて、色々やってくれるだろう、だから、親の医院に戻っても大丈夫と考えるのはあまりに甘いのです。
本当に子供のことを考えてくれてるのであれば、そんなボロボロの医院に戻ってきてほしいなんて言わないはずだし、戻ってきてほしいんだったら、最初から年間1億以上の継ぐ価値のある医院を残してるはずです。

これから、親の医院を継承することを考えてる方には、ぜひ、今回の内容をよく考えて、この内容を親にも読んでもらって、どうするかを考えることをおすすめします。

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