バランススコアカードを活用した歯科医院の目標設定方法

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こんにちは!経営戦略研究所株式会社の山ノ内です!
今日は目標設定としてのフレームワーク(考え方の型)であるキャプランやノートンが提唱した「バランススコアカード(BSC)」について触れていきたいと思います。一口に目標設定の方法と言ってもとても多くありますよね。どれが絶対的に正しいはないと思いますが、色んな考え方に触れて、医院やご自身に合う形を選択するのが良いかと考えます。

「バランススコアカード(BSC)」は、歯科医院の経営にも応用可能と考えています。実際、医科でもよく使用されているフレームワークです。

歯科医院の経営を向上させるために、財務視点や患者視点だけでなく、内部プロセスやスタッフの成長・学習にも焦点を当てた目標設定を行うことで、医院全体のバランスの取れた成長を実現できます。このブログでは、歯科医院がバランススコアカードを活用して目標を設定する方法について解説します。

 

バランススコアカードとは?

バランススコアカード(Balanced Scorecard)とは、企業や組織が目標を達成するためのフレームワークです。一般的な財務指標だけではなく、以下の4つの視点から目標を設定し、進捗を管理することを目的としています。

 

財務視点:利益や収益性など、財務面での成果を評価する視点

顧客視点:顧客満足度や信頼性など、顧客との関係を評価する視点

内部プロセス視点:業務プロセスの効率や質を評価する視点

学習と成長の視点:スタッフのスキル向上や組織の成長、文化の醸成を評価する視点

この4つの視点を通じて組織全体のバランスを取りながら、目標達成のための戦略を策定するのがバランススコアカードの特徴です。歯科医院ではこれらの視点をどう活用できるのでしょうか?

 

 

歯科医院でどう活用する?

歯科医院では、診療技術の向上や患者数の増加だけでなく、患者満足度やスタッフの採用・育成・定着など多様な課題に対応する必要があります。バランススコアカードを活用することで、これらの課題を包括的に管理し、診療所の成長を目指すことが可能です。

 

以下のような具体的な手順で進めることが効果的です。

 

4つの視点ごとに目標を設定する:財務、顧客、プロセス、学習と成長の各視点で明確な目標を立てます。

目標達成のための指標(KPI)を設定する:例えば、月間医業収入やメンテナンス人数、スタッフ外部研修の参加率などが該当します。

進捗を定期的に確認する:KPIをモニタリングし、必要に応じて目標や施策を見直します。

 

 

財務視点とは?

財務視点は、診療所が持続可能な経営を行うための基盤となる収益や利益の向上に焦点を当てます。

 

歯科医院で設定できる財務視点の目標例は次の通りです。

医業収入の増加:新しい自由診療などを導入し、昨年比10%以上のアップ金額にする。

コスト管理:トップライン(医業収入)を伸ばさずにむやみにコスト削減に走って欲しくはないですが、材料代や技工所の検討、固定費の見直しなどを行い、利益率10%を確保する(法人の場合)

財務視点は他の3つの視点を支える重要な柱であり、持続可能な診療所経営の基盤となります。

 

 

顧客視点とは?

顧客視点では、患者満足度や信頼性の向上を目指します。患者との良好な関係を築くことが、メンテナンス人数のアップや口コミ評価の向上につながります。

 

歯科医院における顧客視点の目標例は次の通りです。

患者満足度の向上:例えば、治療後アンケートを実施し、「満足」「とても満足」と回答する患者の割合を80%以上にする。または、Googleレビューの評価を100件、評価4.5以上を目指す。

新規患者の獲得:地域における認知度を高めるためのWebマーケティングや広告施策を展開し、新患数を月10名増やす。

メンテナンス数の向上:定期検診患者のリコール反応率を90%以上にする。

患者の期待を超えるサービスを提供することで、信頼を得ることが重要です。

 

 

プロセス視点とは?

プロセス視点では、診療所内の業務の流れや治療プロセスの効率性を高めることに注力します。

 

具体的な目標例としては次が挙げられます。

治療の質の向上:Dr間の症例検討など漏れなく実施し、Dr間での治療のバラツキを抑え、再治療率を2%以下(または、3人以下/月)に抑える。

診療の効率化:メンテナンスの標準化を行い、メンテナンス時間を5分短縮する

稼働率:ユニット稼働率を90%以上にする

業務のDX化:例えば、カルテや会計処理をデジタル化し、事務作業時間を10%削減する。

プロセスの改善により、患者の満足度とスタッフの生産性が同時に向上することが

 

 

学習と成長の視点とは?

学習と成長の視点は、スタッフのスキルアップや組織全体の成長、文化の醸成を促進します。歯科医院では、スタッフの教育や働きがいを向上させることが重要です。

 

具体的な目標例としては次が挙げられます。

スタッフ研修の実施:年間2回以上の外部研修の参加率を100%にする。

院内イベントの参加:院内イベントの参加率85%以上

キャリアパスの明確化:歯科衛生士や助手が成長できるキャリアステップを提示し、3年内離職率を10%以下に抑える。

学習と成長を重視することで、優秀なスタッフを育成や定着、そして採用にも良い影響が出てくると思います。それは、歯科業界の激しい競争に勝つには重要な要素になります。

 

 

最後に

バランススコアカードは、歯科医院の目標設定において「財務」「顧客」「プロセス」「学習と成長」の4つの視点をバランスよく考慮するフレームワークです。歯科医院経営において、一つの視点だけに偏ることなく、全体最適を目指すことで、持続的な医院の成長と患者満足度の向上が期待できると考えます。

ただ、注意したいのは、取り組みたいことがありすぎて、項目を増やしすぎる傾向もあります。マジカルナンバー7±2または、マジカルナンバー4±1というような概念があります。これは人間の短期記憶は限界があるので覚える項目は7±2個にするか、4±1個くらいに絞ったほうがいいよ、という考え方です。医院の置かれている環境次第ですが、選択と集中する時には意識すると良い概念かなと思います。

もう一つ、注意したいのは、目標設定しただけで満足しないこと。
何よりも実践・行動が大事です。極論、実践・行動>目標設定だと思います。その方が人も組織も成長すると思います。ただ、より効率的に、より理想的に、成長するには目標設定が必要だと思います。自分の医院に合う目標設定を行い、2025年も大きく成長していきましょう!

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