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皆さん、こんにちは!歯科医院地域一番実践会 コンサルタントの山下です。
本日は「大規模医院だからこそ生まれやすいもの」というタイトルでお話をしていきたいと思います。
私はコンサルタントとして8年目を迎え、チェア3台からチェア30台以上という幅広いクライアントを担当しております。
直近では、私のクライアントの多くが3億4億を超える歯科医院に成長し、大規模医院の仲間入りを果たす歯科医院が増えてきました。そのような歯科医院の成長過程を見ているなかで、大規模医院だからこそ生まれやすいものがあると感じています。
それは「ムラ」です。
小規模、中規模医院では、そもそもの組織人数がまだ少なく、院長先生やチーフの目、教育が行き届き、大きなムラを最小限に抑えることが可能かと思います。
ただ、大規模医院になると組織人数も増えるため、このムラを0にすることは不可能に近く、何も取り組みをしないとなると、どんどん大きなムラが生まれ、組織弱体化に繋がってしまいます。
そして、「ムラ」と聞くと、スキル面をイメージされるかと思いますが、スキル面以外にも、「医院理解度のムラ」「組織貢献度のムラ」「モチベーションのムラ」「考える力のムラ」などの様々なムラ生まれ、医院規模は大きくなり、組織として強くなっているように見えるが、マネジメント問題が一向に減らないといった状態に陥ります。
実際に大規模医院の院長先生がこのような問題を抱えているのではないでしょうか。
私はこのムラのなかでも「考える力のムラ」はどうしてもできてしまい、この「考える力のムラ」をなくすために全労力を費やすのは非効率的であると感じています。
考える力が弱いスタッフさんに、「もっと考えろ!」といって、考える力がすぐに身につくとは思いません。
このような考える力にムラがある組織において、スタッフ自走型医院を追い求め、自主性だけを追求するとムラからムダが生まれる可能性が高くなります。
その1つの例がプロジェクトです。
実践会ではプロジェクトを推奨しており、私のクライアントでも多くの歯科医院が導入し、医院成長の1つのエンジンとなっています。
ただし、大規模医院で仕事観が確立している幹部やリーダーが複数いない場合、プロジェクトをするとリスクがあるということも認識をしておいていただきたいです。
考える力がないということは、医院が求めている取り組みではなく、非効率的な取り組みを実践し、やった感じにだけになっているということもありえます。
実際に私のクライアントでも、プロジェクトチームのリーダーに取り組み内容を確認したときに、あまりにも医院が求めているものとかけ離れている取り組みをしているときがありました。
この件に関して、決してこのリーダーが悪いというわけではなく、適性がないのに、そのポジションを与え、委ねるという判断をした院長と私のミスです。
そして、大規模になるとプロジェクトチームの中でもやっている人、やっていない人のムラが大きくでき、そこに共通の大入り報奨金制度があった場合は、間違いなく不満の種になります。
やっている人、やっていない人が一律の報奨金を受け取る。
やっている人からすると気持ちの良いものではないですよね。
このように「他の医院がプロジェクトをやっているから」「大入り報奨金制度があるから」といった安易な判断で導入すると、良かれと思ってやったことが、不満に繋がることがあります。
導入する場合には、仕事観が確立しており、考える力が備わっているスタッフが複数名いて、そこから細かく設計したうえで、導入をするべきかと思います。
私は最も合理的で生産性の高い組織とは、各個人、各部門の数値目標が明確に決まっており、その達成状況に応じて自分の給与が決まるというシンプルな組織が、結果、生産性の高い組織を構築できるのではないかと考えています。
考える力があるものは「自分のスキルをあげるためにどうすればいいかを考える」「自分の目標をクリアするためにはどうすればいいかを考え行動する」そうすると自ずと目標を達成し、結果正当な給与を貰える。一方で考える力がなく、なんとなく働いているスタッフさんはそれ相応の結果と評価になる。
プロジェクトの時間も全員一律ではなく、各個人、各部門が目標達成するために必要な時間をそれぞれに考えさせ、必要な時間だけを確保し、それ以外は診療をした方がより効率的かと思います。
実際に私のクライアントではプロジェクトを廃止し、各個人、各部門の目標を達成するためのPDCAの時間だけを設けるというやり方をし、大きく医業収入を伸ばしている歯科医院が増えてきています。
但し、1点だけ気をつけなければならないのは、数値が先行し、数値主義のスタッフが増えてしまう可能性です。
この点に関しては、仕組みとしてどこかで「定性評価」を入れた方が良いかと思います。私のクライアントの場合は、賞与はそのまま一律支給ではなく、定性評価を導入し、賞与に差がつく形を取っています。
大規模医院を目指していく歯科医院さんには、必ず通る道というものがあります。
その道で生まれる課題を事前に予想し、今からの対策と行動につなげていただければと思います。