総医の仕組みづくり(令和6年6月改定版)

院内マーケティング

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皆さんこんにちは。

経営戦略研究所の前田です。

 

今回は、「総合医療管理加算(総医)」についてお話をしていきます。

前回の改定(令和4年4月改定)で総医の施設基準がなくなったことからも、「医科歯科連携をどんどん進めていってほしい!」という国からのメッセージを強く感じます。

このブログをご覧の先生方には、総医の算定を通して、より充実した医科歯科連携を目指していただきたいと思っております。

 

本記事では、「医科歯科連携の重要性」「総合医療管理加算の基礎」「総医の算定の流れ」「算定のポイント」についてお伝えします。

 

医科歯科連携の重要性

こちらは、歯科医療提供体制等に関する検討会で取りまとめられた、歯科保健医療ビジョンの全体像です。

歯科保健医療ビジョン

この中で、歯科医療従事者等が目指すべき姿が提言されています。

ここから、地域包括ケアシステムの構築に向けて、機能分化、予防の推進、そして医科歯科連携の充実が求められていることが分かります。

今後より進んでいく高齢化を考えると、なにかしらの疾患を有している患者さんが増えていきます。

そのような中で、より充実した歯科治療を提供していくためには、医科との連携が必須になっていきます。その為に、今から、医科歯科連携を意識して日常の診療にあたることが、今後の安定した医院経営にもつながっていくと思います。

 

総合医療管理加算の基礎

では、総合医療管理加算(総医)のポイントをみていきましょう。

この総医は、

【別の医科の保険医療機関の当該疾患の担当医から歯科治療を行うに当たり、診療情報提供料に定める様式に基づいた文書により患者の全身状態や服薬状況等についての必要な診療情報の提供を受け、適切な総合医療管理を実施した場合】に、「歯管に加算」できるものです。

また、令和4年までは、届け出が必要だったのですが、令和4年4月改定でそれがなくなりました。

届け出無しで、どの医院でも算定できるようになったということです。

ただ、まだまだ多くの医院で、算定を意識できていないのかな?と感じています。

 

総合医療管理加算の対象疾患

総医は、どの患者さんでも対象となるかというと、そうではなく、対象となる疾患が決まっています。令和6年6月改定で、対象疾患が増えていますので、チェックしましょう。

・糖尿病患者

・骨吸収抑制薬投与中の患者

・感染性心内膜炎のハイリスク患者

・関節リウマチの患者

・血液凝固阻止剤若しくは抗血小板剤投与中の患者

・認知症の患者

・神経難病の患者

・HIV感染症の患者

・初診料の(16)のト若しくは(19)に規定する感染症の患者若しくは当該感染症を疑う患者

です。

見てみると、かなり多くの患者さんが該当するのではないかと思います。

 

総医の算定の流れ

算定までの基本的な流れをご説明します。

総医_算定の流れ

問診で、患者さんが対象の疾患に罹患しているとわかったら、医科にお手紙を書いていただきます。

その際は、診療情報連携共有料という点数も算定できますので、ご確認ください。

その後、医科からお手紙が返ってきましたら、全身的な疾患管理を行っていくことで、歯管の算定時に、総合医療管理加算+50が算定できるようになります。

先生方とお話をしていると、医科に手紙を出すことにとても躊躇される先生がいらっしゃるのですが、いまは、医科の方にも点数がついていますし、医科歯科連携の推進が求められていますので、ほとんどの先生がお手紙を返してくれます。

もちろん礼儀やマナーは必要かと思いますが、必要以上に躊躇する必要はないと思います。

 

歯周病ハイリスク患者加算について

また、令和6年後改定で、SPTに歯周病ハイリスク患者加算が新設されました。

【歯周病の重症化するおそれのある患者に対して歯周病安定期治療を実施した場合は、歯周病ハイリスク患者加算として、80点を所定点数に加算する】という点数です。

【糖尿病の病態によって歯周病の重症化を引き起こすおそれのある患者に対して、歯周病安定期治療を実施する場合に算定する。なお、算定に当たっては、主治の医師からの文書を診療録に添付する。】とありますので、対象患者さんには、

診療情報連携共有料⇒総医+歯周病ハイリスク患者加算、という算定が可能となります。

 

算定のポイント

さて、ここまでざっと総医のポイントを確認してきましたが、いかがでしょうか?

これなら、医科歯科連携の推進、総医を算定していけそうだ!

と思われた先生もいらっしゃれば、そうではない先生もいらっしゃるかもしれません。

続いては、多くの医院で算定が進まない原因とその解決策についてお話ししていきたいと思います。

 

まずは、多くの医院で総医の算定が進まない原因についてですが、

・対象疾患・対象患者さんの共有ができていないこと

・返信されたお手紙が共有されていないこと

が挙げられます。

 

当たり前の話ですが、対象疾患が、院内とくに受付さんに共有されていないと、対象疾患に罹患している患者さんがご来院されても、医科歯科連携の話をするきっかけがほぼなくなってしまいます。

また、対象疾患に罹患している患者さんが受付でわかっても、それが先生に伝わっていないと、医科にお手紙を出す機会を失ってしまいます。

そして、お手紙がかえってきていても、患者さんの来院時にそれが共有されていないと、総医の算定がもれてしまうことがあります。

しっかりと、医科歯科連携の推進、総医の算定を進めるには、これらの共有を強化することが必要となります。

 

改善のポイント

対象疾患・対象患者さんの共有については、院内MTGなどをつかって、医科歯科連携の大切さも含めて、医院全体、とくに受付さんに共有していくことが非常に大切です。

そして、対象患者さんへの説明の流れ、ドクターへの共有、お手紙の書式・内容を院内で話し合っておけると、スムーズかと思います。

対象患者さんの確認もれを防ぐために、問診票の変更や、対象疾患を記載した用紙を受付においておき、すぐに患者さんに確認できるようにしておくこともお勧めです。

また、返信されたお手紙の共有については、お手紙の返信があったら、カルテにマークをつけておく、アポシステムにしるしをつけておくなどして、全身的な疾患管理をした際に算定もれのないような工夫をしておけると、良いかと思います。

総医のお話は以上となりますが、医科歯科連携を進めている医院の先生方にお話をきくと、「そんなことまで診てくれる歯科にはじめて出会った!」と感動される患者さんが大勢いらっしゃると伺います。

 

そして、今後の充実した歯科治療には必ず医科歯科連携が必要になると思います。

算定テクニックに走るのではなく、是非総医の算定を通して、医科歯科連携を推進いただけますと、たいへん嬉しく思います。

 

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