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皆さん、こんにちは!
歯科医院地域一番実践会の五十嵐です。
昨今、あらゆるメディアのニュースを見ると【トランプ関税】【財務省解体】【解雇規制緩和】など、ネガティブ且つ、時代の変化を感じるものが多くあると認識しています。日本という国で生きていくこと、経営をおこなっていくことの一層の難しさを感じずにはいられません。
経営に関しては、業界問わず廃業・解散が増加傾向です。
歯科も含めた医療業界に絞ってみると2024年に市場から消えた医療機関は過去最多の786件でした。(帝国データバンクTDB Business view参照)後継ぎ問題や高齢を理由に廃業されるケースはありますが、2024年に倒産した786件うち6割以上が収入減少という事実があります。しかも、2026年には1000件に達する見込みであると予測されているようです。
今後、確実に勝てる組織と負ける組織の2極化が加速することは確実だと思います。
そんな状況の中で生き残っていく為には、より一層明確かつスピディーな戦術・戦略と実践が重要です。
その戦術・戦略の中で確実に重要なものを1つ挙げろと言われたら、私は確実に【採用戦略】だと考えています。
日本の歯科医療を取り巻く環境は、少子高齢化や働き方改革といった社会的な変化、そして歯科医師・歯科衛生士をはじめとする人材不足という喫緊の課題に直面しています。特に、優秀な人材の確保は、今後の歯科医院経営を持続可能なものとするための最重要課題と言えるでしょう。
もしも、このブログを読んでいる院長先生がまさにこのような状況に危機感を抱いているなら、まずやるべきことは「診療時間の短縮」という戦略的な視点を取り入れるべき時かもしれません。一見すると矛盾するように聞こえるかもしれませんが、診療時間の短縮は、結果として歯科医院の採用力を飛躍的に高めることができる手段になりえます。
なぜ今、「短い診療時間」が採用力強化の鍵となるのか?
現代の労働市場において、求職者が仕事に求める価値観は多様化しています。給与や福利厚生はもちろんのこと、「ワークライフバランス」や「働く時間の柔軟性」に対するニーズは年々高まっています。特に、歯科衛生士や歯科助手といった女性が多く活躍する職種においては、その傾向が顕著です。
長時間労働が常態化している歯科医院は、これらのニーズに応えることが難しく、結果として採用活動において不利な立場に立たされます。「残業が多い」「 有給が取りにくい」といったイメージは、優秀な人材を遠ざける大きな要因となり得るのです。
一方、診療時間を短縮し、スタッフがより充実したプライベートな時間を確保できる歯科医院は、求職者にとって魅力的な選択肢となり得ます。 「仕事もプライベートも充実させたい」「家族との時間を大切にしたい」と考える人材にとって、「短い診療時間」は強力なアピールポイントとなるでしょう。
診療時間短縮は「質の低下」を招くのか?
「診療時間を短くしたら、患者さん一人ひとりに十分な時間をかけられなくなり、結果として医療の質が低下するのではないか?」「そもそも来院数が減ってしまい、収益も落ちるのではないか?」
このような懸念を持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここで重要なのは、単に診療時間を短くするのではなく、**「生産性を向上させる」**という視点を持つことです。
生産性の向上とは、同じ時間内でより多くの、またはより質の高い医療サービスを提供することを意味します。そのためには、以下の様な取り組みが不可欠となります。
・業務の効率化
予約システムの最適化、受付業務のデジタル化、診療準備・片付けの 効率化など、無駄な時間を徹底的に削減します。最終的には、受付無人化までを目指せると良いかと思います。
・チームワークの強化
歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付スタッフそれぞれの役割を明確にし、スムーズな連携を図ります。その為にも、ミーティングや日々のコミュニケーションにより、効率化を進める為の取組を実施していくことが重要です。
・最新技術、設備の導入
デジタルレントゲン、口腔内スキャナー、セレックなどの院内技工システムなどを導入することで、診断や治療の精度を高め、時間効率を向上させます。
・スタッフのスキルアップ
定期的な研修や勉強会を通じて、スタッフ一人ひとりの知識・技術を高め、より効率的な診療を可能にします。人に投資することは非常に大事かと思います。院内で教育が難しければ、セミナーやフリーランスの歯科衛生士を活用も検討する必要があります。
・カウンセリング力の向上
患者さんの離脱防止や自費率アップ、メインテナンス以降率を上げる為には、丁寧な説明やカウンセリングの仕組を導入することが必須です。ここについてはもはや出来たらいいというレベルではありません。構築できていないのであれば、今すぐにでも検討すべきかと思います。カウンセリングを行うことで、患者さんの理解と協力を得やすくし、スムーズな診療を促します。自費診療への理解やメインテナンスの重要性を理解してもらい、これらの対策を通じて生産性を高めることが重要です。
まとめ
人材不足が深刻化する現代において、従来の長時間労働を前提とした歯科医院経営は、もはや持続することが難しくなっています。「短い診療時間」という新たな視点を取り入れ、生産性を向上させるための改革に踏み出すことこそ、重要な取組かと思います。