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みなさん、こんにちは、経営戦略研究所の横山光孝です。
日々、歯科医院さんにお伺いをして医院の活性化や課題への対応をしています。
また最近、弊社へのコンサルティング依頼が大変に多くなっています。
その中でも医業収入の大きな医院様からのご依頼が顕著に増えています。
10億を目指したいとのコンサルティング依頼や既に10億を超えている医院様から20億を超えるためのコンサルティング依頼などが大変に多くなっています。
私のお伺い先の医院様でも10億を超える法人様が非常に多くなっています。
いつもお伝えをしていることですが、歯科治療は医療なので数字がすべてということではありません。
一方、医院経営は経営なので、数字を抜きには適切な経営は出来ません。
医療としての治療の円滑化、効率化、技術向上が患者様の納得や満足に直結します。
それが数字に反映されます。
治療の内容、技術、患者様の満足度などの医院の状態は数字に現れます。
治療の内容を含む医院の状態が良いから業績も上昇し、それが結果として10億、20億へと医院が飛躍をしていくのです。
このように私のお伺いをしている多くの医院様が10億、20億と業績を伸ばしていっています。
しかし、10億の医院様も初めから10億の医院であったのではなく、全ての医院様と全く同じように最初は年間医業収入が1億円に届かない状態からスタートをしているのです。
「やるべきこと」と「やった方が良いこと」を着実に実施していくことで一歩一歩、成果につなげていったのです。
それでは、このように現在は10億、20億円となった医院さんの2億円規模時代にはどんな取り組みをしていたのでしょう。
私はコンサルティングに訪問当初、全ての医院様が月間医業収入200万円~800万円でした。
現在は訪問先医院様の60%以上が年間医業収入3億円を超えています。
またお伺い先の40%以上が年間医業収入7億~10億、15億円になっています。
このような経験の中で利益1億円を超える医院の外からは見えない共通点が見えてきました。
利益1億円の医院の取り組みの前に多くの医院の利益の状況は
年間医業収入1億を超えて2億になってきたりすると
・売上は上がっているが利益が出ない
・売上が上昇する以上に支出が多い
・利益は出ているが現金が残らない
などのケースがあったりします。
利益が1億円以上の医院ではどのような取り組みがなされているのでしょうか
それは以下のような項目ポイントがあります
1.医院利益の源泉を知っている
2.多くの医院は「売上<利益モレ」
3.「利益モレ」の源泉を知っている
などの項目が共通点です
まずは、歯科医院の利益の源泉です。
歯科医院の利益の源泉として認識をしておきたいものが「メンテナンス」と「自費治療」です。
ここでは経営面からのメンテナンスの重要性を再確認していきましょう。
「DH1人月間300万円達成システム」でも説明をしましたが、歯科医院の利益の源泉としてはメンテナンスは非常に重要なのでここでも再度、お伝えを致します。
利益1億円の医院様は現在、訪問先で5医院ありますが、その全ての院長はこの話をしっかりとお聞き頂き、行動をされた先生ばかりです。
医業収入を数式で表すと
・医業収入=保険治療点数+自費治療
・医業収入=患者様人数✕単価
ここで「患者様人数」は(新患+既存患者様)✕来院頻度と書き換えることも出来ます。
また来院頻度はリピート率ということです。
つまり、医業収入=患者様人数✕単価
この公式は(新患+既存患者様)✕リピート率✕単価ということです。
一方、歯科医院経営にはその医業収入を支える大きな柱が3本+1本がります。
今日はまず3本柱についてお話をします。
3本の柱とはつまり「保険治療」「自費治療」「メンテナンス」です。
この3本柱を歯科医院の医業収入公式に当てはめますと
・新患+既存患者様=保険治療
・リピート率=メンテナンス
・単価=自費治療
ということになります。
歯科医院の医業収入は
「保険患者人数」✕「メンテナンス人数」✕「自費治療」ということになります。
※ここでは「自費治療」は「✕」ではなく「+」の方がより実際に近い公式になるかもしれません。
メンテナンスは歯科経営においては、これだけ医業収入に大きな影響を及ぼすのです。
加えて今度は利益の側面からメンテナンスを考えてみましょう。
まず、医業収入の公式項目の「(新患+既存患者様)=保険治療」です。
保険治療はその診断、治療を歯科医師の先生が治療します。
そこには歯科医師の給与という人件費がかかってきます。
加えて診療の補助を行う歯科助手も必要になります。
つまり虫歯治療では歯科医師と歯科助手の人件費がかかります。
通常、歯科医師の先生の給与はその専門知識や専門技術、また難関の有資格者であることから、それに見合った給与になります。
加えて歯科助手の給与もかかります。
保険治療は歯科医療における重要な基盤なのでおろそかにすることは出来ないのですが、この保険治療をするには、それだけの人件費がかかるということになります。
また「自費治療」においては、さらに高度な専門知識や専門技術が必要になりますので、そのような治療費を患者様から頂きます。
保険治療と同じように、ここでも歯科医師の先生の人件費と歯科助手の人件費がかかってきます。
ただし自費治療の場合は、保険治療に比べてより高額な原材料費や技工費がかかってきます。
最近はCAD/CAMなどの活用で技工料の効率化も図れるようになってきていますが、そこにはCAD/CAMの設備投資が数百万から数千万円かかっていることを忘れることは出来ません。自費治療は歯科医療にとっても歯科経営にとっても大変に重要な診療ではあるのですが、それだけの経費もかかるということです。
さて次はメンテナンスです。
私のお伺いをしている医院ではメンテナンスにおいていくつかの治療時間のパターンがあります。
8時間労働を前提とした診療時間をベースに考えると
・メンテナンス30分枠→16枠
・メンテナンス40分枠→12枠
・メンテナンス45分枠→10枠
などの枠組が出来ます。
現時点でメンテナンスの施術点数は900~1000点が多くの医院で見られている状況です。
つまり、
・メンテナンス30分枠→16枠→14,400~16,000点
・メンテナンス40分枠→12枠→10,800~12,000点
・メンテナンス45分枠→10枠→9,000~10,000点
DH1人が一月に20日間勤務をすると仮定すると最高数値で
・メンテナンス30分枠→16枠→(14,400~16,000点)✕20日間=320,000点
・メンテナンス40分枠→12枠→(10,800~12,000点)✕20日間=240,000点
・メンテナンス45分枠→10枠→( 9,000~10,000点)✕20日間=200,000点
となります。
ただしメンテナンスには通常10%程度のキャンセルが出ます。
一方、メンテナンスは1診療当たり1000点を超える診療も多数あります。
それらを加味していくと1ヶ月に300万円に着地をしていくことが可能となるのです。
DHが1人で300万円の医業収入を上げた際に、かかる人件費は概ねDHスタッフ1人の人件費です。
医院の社会保険負担分を考慮しても35~40万円くらいでしょうか。
多めに見て50万円とします。
1ヶ月のDHスタッフ人件費が50万円、これにメンテナンスにかかった原材料費はどのくらいでしょうか。
医院さんにもよりますが、1万円はかからないのではないでしょうか。
300万円の医業収入に対して人件費と原材料費の経費合計が51万円です。
メンテナンスユニット1台で約250万円の利益につながるということです。
メンテナンスユニット2台あれば500万円
メンテナンスユニット3台あれば750万円
メンテナンスユニット4台あれば1000万円
の利益が1月に出るということです。
メンテナンスユニット4台の医院が確実にメンテナンス30分で施術をすることができればメンテナンスだけで年間1億2000万円の利益につながるということです。
私がお伺いをしている医院ではこのようなモデルで年間1億を優に超える利益を達成している医院が多数出ています。
このようにメンテナンスは歯科経営の大きな柱であると同時に歯科経営の大きな利益の源泉でもあるのです。
歯科経営にとってメンテナンスが以下に重要な診療科目であるかがおわかりになると思います。
2.多くの医院は「売上<利益モレ」
前述をしました通り歯科医院経営における利益の源泉は「メンテナンス」と「自費治療」です。
メンテナンスは前の項目で説明をした通りです。
「売上<利益モレ」は自費治療への取り組みで欠かせない考え方です。
歯科医院の利益を確保していく上で自費治療も欠かせない診療科目です。
自費治療をやっていくことによってその売り上げは非常に高いものになりますし、また自費治療をやっていく患者様は非常に質の高い患者様であることが多いのです。
この意識の高い患者様がメンテナンスに移行してくるということも非常に多いですし、その患者様に紹介をお願いすることによってレベルの高い患者様がより多くご来院いただくということにもつながります。
このように診療での単価を上げていただけたり、メンテナンスにご来院していただけたり、また質の高い患者様の紹介をしていただけたりという事は自費の患者様がどれだけ歯科医院の利益の源泉につながっているかということなのです。
ですから自費の治療に関する提案、カウンセリングをしっかりとやっていくということが歯科医院にとってとても重要な取り組みになってくるのです。
ところが医院によっては忙しいからであるとか、カウンセリングをやるタイミングがないであるとか、いろいろな理由をつけてカウンセリングが出来ないということが起きたりします。
また時間がないという言い訳だけではなく本当に見落としをしてしまう、カルテチェックをできずにいるために本来自費治療の提案ができる患者様に自費の説明ができていなかったりということが頻繁に起きたりするのです。
1億円や2億円の医院の診療状態とは診療状況が違うことも有りえるのです。
3億5億となってくると、また表題にありますように利益1億円を目指そうという規模の医院になりますと本当に患者様が多く忙しくなり、よほど意識してカルテチェックやカウンセリングの実施状況を管理していかないと本来説明するべき患者様へのカウンセリングがボロボロと漏れていってしまうのです。
つまり「売上<利益モレ」という状況が常態化してしまうのです。
こうなると利益の垂れ流しになっていきます。
3.「利益モレ」の源泉を知っている
このようにカウンセリングを出来ないことで、自費治療を逃してしまうと同時に「利益モレ」が起きている箇所があります。
それが無断キャンセルです。
無断キャンセルとはアポを予約しておきながら連絡もなくご来院いただけずに無断でキャンセルされてしまうということです。
歯科医院の数値管理において無断キャンセルの管理というのは非常に重要な項目です。
といいますのも、歯科医院で患者様が減る、例えば新患人数が減る、1日の患者様が減るなどの減少が起きる前兆の数値が実は無断キャンセル率ということなのです。
無断キャンセルが増えていく状況に気づかずそのままにしておくと、その後1日の患者様が減ってアポが埋まりにくいということが出てきます。
その数ヶ月後には新患者様が減ってくるという現象が起きます。
アポに予定された患者様がご覧いただけずにどんどんと患者様が減り、上がるべき点数が上がらず、できるべき自費治療ができないという現象が起きていきます。
ですから無断キャンセル管理が実は利益の確保の基本的な取り組みとなるのです。
これはメンテナンスの患者様にも言えることです。
歯科医院におけるキャンセル率の基本的な標準数値は10%以下とされています。
キャンセル率の内訳としては電話キャンセル率が6%以下、無断キャンセルが4%以下となっています。ただこれは歯科医院全体としてはキャンセル率の標準数値です。
メンテナンスにおけるキャンセル率は通常10%以上となっています。
治療のキャンセル、メンテナンスのキャンセルは実は別々に管理をしていくことが必要なのです。メンテナンスのアポにおいては枠外の予約を取るという事は通常できません。
治療のキャンセル率は通常7%程度、メンテナンスのキャンセル率は13%、そして医院総合のキャンセル率が10%以下となっていることが多いのです。
メンテナンスのキャンセルがいかに高いかということがお分かりだと思います。
メンテナンスは痛みがあるわけでもなかったり、ぜひとも必要という認識を持っている患者様が必ずしも多いというわけではありません。
ですから患者様の来院経路管理をしっかりとやっておかないとあっという間にキャンセルが増えていく、つまり患者様そのものが減っていくということになってしまうのです。
また治療のアポとは違って、前述の通り、枠外の予約を取るという事はメンテナンスでは通常なかなかできません。
治療であれば枠外にアポを取っておく、急患を受け入れるなどで無断キャンセルアポのリカバリーをすることが可能です。
メンテナンスではキャンセルをされてしまうと急患でメンテナンスをリカバリーすることなどは通常難しいのが現状です。
また枠外でアポを取っておくということもできません。
メンテナンスのキャンセルはそのままチャンスロスに直結してしまうのです。
つまり利益の源泉が漏れていてしまっていることにつながります。
これらのポイントを着実に対策していくことの繰り返しによって多くの医院が利益1億円を達成しているのです。