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歯科医院地域一番実践会の五島光です。私は歯科医院専門のコンサルタントとして15年ほどの経験があります。全国の歯科医院の皆さんが着実により強い医院になるためのお手伝いをさせて頂いています。また、それだけではなくて、スーパーTC育成塾、スーパーTCアドバンスというセミナーでメイン講師を務めています。さらに社会人大学院に通っており学位を取るための研究をしています。専門は消費者行動、サービスのマーケティング・マネジメントです。
今回は「実は大切。予防患者を増やすリコールカウンセリング手法」というテーマでお伝えしていきたいと思います。冒頭にお伝えしたとおり、私はスーパーTC育成塾(とスーパーTCアドバンス)の講師をやっています。トリートメントコーディネーターは患者さんに治療に関する情報提供をしたりとか、歯科医院と患者様の架け橋になるようなスタッフで、そのような方々を育成するセミナーをしているんですけども、TC育成塾はボリュームがいっぱいなので、リコールカウンセリングをお伝えする時間は取れませんでした。そこで今回は特別にこのリコールカウンセリングの手法をお伝えしていければと思います。
予防の患者さんの数を把握していますか?
まず予防の患者さんを把握してるかどうか大切です。いきなり患者さんを増やしていこうという前に、まず現状を把握するということが大事です。
これはある歯科医院(チェア4台から5台ぐらいの規模)のグラフなんですけども、これ見ると、「増えて減って、また増える」ようなパターンになっています。この医院の場合は4ヶ月おきに大人のリコールがあるんですけども、3月が増えて(小児患者が増える)、また7月が増えて(夏休みで3月からちょうど4ヶ月後なので当たり前に増えますね)、また11月にも増えています。これも当たり前ですね。
増え続けないとおかしい
しかし、他の月はどうも入っていない。予防のことを考えると、増え続けないのは変なことです。毎回ちゃんと来ていただくということを仮定したとして、毎月新患の方は一定数いらっしゃるし(場合によってはそういう患者さんが40人、50人、100人くらいいるかもしれません)、その一部はちゃんと治療に通われて治療を終えられます。その後はリコールの流れに乗っていくわけですから、毎月何十人か新しい予防の患者さんが流れに乗ってこないとおかしいわけです。なのでリコールの、定期検診の患者さんは増え続けないといけないということは忘れないでください。
もし増え続けていないとすれば、ザルに水を流しているようなものです。非常にもったいないです。なので、ちゃんと現状把握して、ザルに水を流している状態になってないかをまずは把握してください。なっての把握してくださいそして実際予防から3どれくらい痛いんですかっていうことなんですけども
そして、実際予防の患者さんがどれくらいいたらいいんですかということなんですけども、これは医院の規模によって違います。大体4台ぐらいとか5台ぐらいの規模であれば最低300人ぐらいは安定して来てほしいなと思ってます。300人というのは週2日休み・週5の診療日、つまり月20日診療の場合であれば、1日15人です。
2台のチェアを予防に使うなら、1つあたり7~8人です。これはそんなに難しい数ではありません。4~5台規模の歯科医院では、毎日15人ぐらい18人ぐらいが最低ラインで毎月300人ぐらいを目安にしておきましょう。そして医院のキャパがある限り、このリコール数は増え続けないといけません。
2022年に内閣府が国民皆歯科検診というのを打ち出しましたが、今後はこれがどうなるか不透明です。3~5年後に実現すると政府は言っていますが、実現されるとまた状況は変わってくると思います。何にせよ、どういう事態になったとしても、現状ではリコールカウンセリングをしっかりやる(もちろん、初診・補綴コンサルも)、すなわち患者さん教育のシステムを作ることが重要です。
情報提供が圧倒的に足りない
今までは情報提供が圧倒的に足りてないわけですので、資料を渡すだけじゃなくて、できれば補綴コンサルと同じようにどのスペースも構いませんから、ちゃんと座って15分とか20分ぐらいは予防や定期検診の大切さを伝えてほしいと思います。
リコールの増やし方に関してはいくつかあります。特別に今回はTC育成塾ではなかなか扱えなかったリコールカウンセリングの具体的な方法(こういうスライドを使ってください、のような)をお伝えします。大事なことなので、最後までお読みください。
TC・DH・DA 伝達能力があれば誰でもよい
このリコールカウンセリングについては誰がやるかいうことなんですけど、基本的には誰でもいいです。必ず歯科衛生士さんである必要はないかなと私は思っています。衛生士さんには実際にリコールをどんどんやっていただいて、説明する側はTCやDAでいいでしょう。つまり職種に限らず、伝達能力があるんだったら誰でもいいです。やり方としては患者様に時間を取って頂いて15~20分間で、できればカウンセリングスペースに座って、初診や補綴コンサルと同様にやりましょう。
リコール方法について
リコール方法については3部構成になっています。1番目は「タイトル」と「ねぎらい」です。2番目は検診で通う、治療で痛くなった時だけしか行かないのではなくて、検診でも通ってくださいね通っていいんですよってことを教育してあげる。これが2番目です。3番目では「解決さを伝える」ということです。具体的にどんな風に通っていけばいいかどんな風にすればいいのかってことをお伝しえます。
①タイトル+これまでをねぎらう
では、1つずつ解説してきます。1番目はタイトルとねぎらいです。このスライドは同じものを作っていただいて構いません。スライドのタイトルは上の画像のとおりです。まずカウンセリングスペースの中で患者さんに座っていてだいて「こんにちは。今日の治療はどうでしたか?」「頑張って通っていただけましたね」のようなちょっとしたフロントトークをします。そして、スライドを指し示しながら「今日は治療から予防へというテーマでお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします」と挨拶をして、進んでいきます。
次のスライドでは「長い間お疲れ様でした。治療が終わって今どんな気持ちですか」と聞いてみます。ここで疲れたとか大変だったとか、ちょっとした会話が出てきます。どのような返答であっても受け止めて否定しないようにしてください。例えば、疲れたであれば「そうですね。やっと終わりましたね」などです。
こういうスライドを出しながら「もう嫌いになったとか、もう来たくないとか、いろんな感想を他の患者様もおっしゃいます」と伝えます。そして、「せっかく頑張っていただいたので、ここで治療前後の写真をいっしょに確認しましょう」と伝えて、お見せします。このカウンセリングでは「治療でよくなりましたね。これをキープしていきましょう」ということを伝えたいので、できればビフォー・アフターの写真を見せてください。5枚法で十分でしょう。
構成の2番目「検診で通うことを啓蒙する」のスライドを紹介します。ビフォー・アフターの写真をお見せしてこんなに変わりましたねと伝えてから、次のスライドを表示させます。
②健診でも通うことを啓蒙する
「頑張って治療終わったばかりなんですけども、ここで今だからこそ知ってほしいことが2つあります」
「知ってほしいこと1点目。それは歯医者さんは歯が痛くなってから行くところという常識は間違ってるって事なんです。ぜひそういうふうに思ってください」
「それから知ってほしいこと2点目ですが、年を取ると歯はなくなっちゃうっていう常識も間違ってるんです。80歳でも20本以上の歯を残して結構たくさんいらっしゃるんですよ。ご存知でしたか?」というふうにクイズ形式で知ってほしいことをお伝えしていきます。
そして「人の歯は全部で何本あったか覚えてますか? 知ってらっしゃいますか?」とクイズをだします。このクイズはセカンドカウンセリングで同じようなことをやっているはずですので、復習としてやってみてください。うちではセカンドコンサルやってないよという医院さんの場合はシンプルに「人の歯ってぜんぶで何本あるか知ってますか?」と質問してみてください。そういうクイズをして、「わかんないです~」「40本くらいですか?」などのやりとりをしてから正解を出します。ただ情報を出すだけはやめましょう。患者さんに当事者意識を持ってもらい、わからなくても考えていただくことが大事です。そして正解を伝えて次のスライドに移りましょう。
「このグラフを見てください。歯科医院ではよく調べてグラフなんです。これは痛い時だけ治療を受けたという方の歯が失うグラフなんです。実は単純に加齢によって歯を失ってことは少なく、このグラフのように痛いときにだけ治療を受けると60代くらいからどんどん歯を失っていくのがわかりますよね。歯を失う原因はこういう構成になっています。実は年を重ねるから歯を失うっていうのじゃなくて、虫歯と歯周病で7割以上の方が歯を失ってらっしゃるんです」
「その虫歯と歯周病を防げていたら歯を失わずにすむ確率はぐんと上がると思います。そのためにはもちろん歯ブラシやフロスなどのセルフケアが大事なのですが、どうしてもご自身では落とせない汚れがあります。そのために私たちプロによるケアを提供しています」
「そして先ほど痛いときだけに治療を受けたときのグラフを見せしましたけど、定期検診をちゃんと受けるとどうなるかっていうグラフもあるんです。検診を受けるとに痛いときだけと比べればかなり歯が残ってることがわかると思います。なのでぜひ検診・メンテナンスに通ってほしいんです。そして検診では何をするのかということなんですけども、基本は4ヶ月おきに来院していただいて歯石を取ることです。歯石を取ることで歯を失う原因ナンバー1の歯周病を防ぎます。また一緒に虫歯のチェックをしていきたいと思います。とはいえこのグラフ見ていただけばわかる通り実は検診を受けたことでも少しずつ歯が減った分かりますよね。これは一体どうしたらいいのでしょうか?」 こんなふう問題提起して最終的な解決策を伝えます。
③解決策を伝える
「その方法はPMTCです。歯石取りだけではなくて、プロによるクリーニング、それがPMTCというのですが、それを受けることでさらに歯を失うリスクを減らすことができます。PMTCが痛くないんです。イヤな音もないですし、多くの方がリラックスして受けて寝てしまう方までいらっしゃいます。実は歯ブラシでは落とせない汚れがあって、それをプロがしっかり取り除きますのでPMTC を受けることによって検診を受けて徐々に減っていた歯をキープすることができるんです」
「いくつかパターンありますので、それを紹介いたします」と伝えてメニューを説明します。最後に当院のコンセプトと全面的に患者さんをサポートするという思いを伝えてあげてください。
「1つめは私たちはお口の悩みを一緒に解決します。2点目は生涯自分の歯で美味しい食事をすることをサポートします。最後に、それで食事だけじゃなくて人生全体豊かで笑顔あふれる人生を我々はサポートしたいと思います。当院と関わった患者さんには健康で楽しい人生を送ってほしいです。そのために私たちができることがメンテナンスなのです」
「いかがでしょうか? ぜひ次回の予約を取られてお帰りください。次回も綺麗な歯を見せてくださいね。ありがとうございました」
今回のスライドをそのまま使っていただいてもいいですが、できれば医院の方針にあったオリジナルのスライドを作ってほしいと思います。
まとめます。まず予防の患者さんを増やしたいというならばその数を把握してほしいと思います。ザルになってないですかということです。ちゃんと増えているんだろうか、何かがあって増えていなければそれおかしいです。リコールを増やす方法はいくつかありますが、その中で今回はリコールカウンセリング手法をお伝えしました。