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初めに
マネジメントで絶対にこうしたら
うまくいくなんてことはありえないと、
私は考えています。
最近、マネジメントをAI活用によって簡略化、
仕組み化したり、パターン化したりという
ことが増えていますが、
そんなに簡単なことではないので注意が必要です。
活用したほうが良いですが、
それだけでうまくいくことは
まずありえないのではないでしょうか。
また、○○をやれば必ずうまくいく!という
うたい文句には注意が必要でしょう。
経営者の方にとって耳触りの良い
ことを言っている内容には特に注意が必要です。
マネジメントというのは、
異なる価値観、強み、弱みを持った多様な
人をまとめ上げて、成果を出すことです。
そのために必要な考え方や手法は
経営者視点のものや従業員視点によるものまで、
本当に数多く存在しています。
そして、組織規模や風土、業界特性、
その時の組織の状況など様々な前提を把握したうえで
どの手法を用いるかを選択していくことです。
例えば、大企業と中小企業では社長の顔が常に見えるかどうか、
という違いから組織のTOPが取るべき行動は変わっていきます。
他にも、歯科業界がおかれているマネジメントの状況で前提となるのは、
他の業界には存在しない歯科医師、歯科衛生士の高い有効求人倍率であり、
歯科助手・受付においては仕事内容に対する誤解が生まれやすい
という特性を理解しておく必要があります。
そのような歯科業界ならではの特性を前提とした場合の
マネジメントの流れにはある程度のセオリーがあり、
以前もブログにまとめさせて頂きました。
しかし、現場はそんなに簡単ではありません。
同じ企業、同じ従業員、同じ評価制度、同じ地域
であっても、たった一人リーダーが変わるだけで、
一瞬で業績やチームワークが崩れることがあるのです。
厄介な空気の存在
それは人の気持ちが作り出す【空気】の存在が
組織にはあるからです。
この空気が院長先生の目指されるものになっていないという
場合にマネジメントの改善が必要となります。
空気が厄介なのはその医院が培ってきた歴史に
紐づいているためです。
そして、その歴史作りに誰よりも
一番長く関わってきているのは
実は院長先生ご自身なのです。
ここで大切なことは、
院長先生がご自身のタイプを見極めながら、
考え方やマネジメントのやり方を変えることが
出来るかどうかという点です。
論語に書かれているように、
人を性善説で捉え、
人から敬われるような人柄を身につけ、
常に笑顔で人の成長を応援し、
厳しい局面には人を鼓舞する。
叱る場合にも、そのことがなぜその人にとって
大切かを説き、言葉を選びながら叱る。
そうすることで人はついてくるというような
尊敬されるリーダーへと変化する。
もしくは、韓非子に書かれているように、
人を性悪説で捉え、報酬や罰則の規定を明確に定め、
きめ細やかに管理し統制をとっていく。
その手法を学び、目的の達成のために徹底して
厳格なリーダーへと変化する。
はたまた、その両方を組み合わせながら、
目標達成のために必要な取り組みを選択して
マネジメントを行っていく。
まずはこのような変化をどれか一つでも
実施しない限りはうまくいきません。
ただ、このように変化をしたとしても、
まだ十分ではありません。
それは、マネジメントは
相手があってのことだからです。
空気とは何か
相手との間にある【空気】がここで問題を起こします。
「スタッフに優しい対応をしたら舐められた。」
「人事評価制度を導入したら優秀な社員にまで反対を受けた。」
このような経験をされた
先生は多いのではないでしょうか。
優しい対応をする、人事評価制度を導入する、
いずれもマネジメントの本を読めば大切な取り組みとして
書かれていることです。
このように他の組織でうまくいったからといって
そのやり方を先生の医院に導入しただけでは
うまくいきません。
その問題の本質の多くは
医院それぞれに存在している空気なのです。
空気をわかりやすく言い換えると
「言っていることはわかるけど、聞きたくない。」
「みんながそう言っているから、そうするしかない」
「なんかわからないけど楽しいからやる!」
「〇〇さんがいうならやろうかな」
このようなものが空気です。
このような空気が経営者の皆さんの求める状態になっている場合には、
組織は良い雰囲気が醸成されていき、良い人材も集まってくるようになりますが、
そうでない場合にはありとあらゆることに反対ばかりされるということや、
退職が止まらないといったことが起きてしまいます。
空気はどのように壊していくか
そこで、悪い状態になってしまった場合には
この空気を壊していくことがポイントになります。
この空気を壊そうと思ったときに、
先ほどご紹介した論語(性善説)と韓非子(性悪説)にかかれている
ある共通点がポイントになると思います。
それは「人の話を良く聞く必要がある」ということです。
どちらの本にも人の話を良く聞くことの重要性が書かれています。
組織の中にいる人の考えなどを確認して、対応することや
人材を見極めることの重要性が書かれています。
「院長先生の考えを理解して、協力してくれそうなスタッフは誰か」
「他のスタッフに対して良い影響を与えてくれそうな人は誰か」
ということを見極め、その方に協力を求めていくことで、
この空気を動かすことが出来ます。
私はコンサルに伺い面談やMTGをする中でこの空気が
今どのような状態になっているのかを確認しています。
そして、誰に対して、どのようなコミュニケーションを取っていくことで
先生の求める方向に近づいていけるかということを見極めていきます。
また、良くない空気を感じた場合には、
MTGや面談の際に外部からの視点やメッセージを入れて、
その空気を壊すということを行う場合もございます。
ただ、どうしてもその空気が強く出てしまっている場合には、
解決がすぐには難しいという場合も多くございます。
もちろん、先生ご自身が変化をしてくださった場合には、
すぐに解決に向かうこともあれば、
先生の劇的な変化は実現出来なくとも
先生に協力してくださるスタッフの皆さんと悪い空気を壊し、
良い空気へ時間をかけて変えていくこともあります。
100医院あれば100通りのマネジメントの流れが存在しています。
空気を変える手法はある程度のセオリーは抑えながらも、
マネジメントの知識や経験から得た引き出しを元に、
その時々に応じて選択していきます。
そのようにして初めてマネジメントの状態が改善されていくのです。
どのような実践が必要か
先生が医院のマネジメント状態を改善したいという場合には、
以下の取り組みを実施されることをオススメ致します。
・スタッフの話を聞く時間をつくり、考え方や価値観を確認する
※先生お一人で難しければ幹部の皆さんに協力して頂く
・先生の協力者を増やしていくことで、職場の空気を変えていく
・先生ご自身が先生にあったリーダーシップの考え方を学ぶ
※このブログでは【論語】と【韓非子】をご紹介致しましたが、
リーダーシップ関連の本はたくさんございますので、
是非先生のお考えにあった本を探してみてください。
・マネジメント関連の取り組み(面談・MTG・人事評価制度構築・コミュニケーション力アップ・組織図・プロジェクト・採用力アップ・医院のルールの設計・労務関連の整備・待遇面の改善etc)を着実に実践する。
※以前のブログにも書いておりますので、参考にされてみてください。
マネジメントは一筋縄ではいきませんが、
協力してくれる仲間が増え、
医院の空気を変えていくことで
その状況は驚くほど一変していきます。
そのような状態を作れると、
仕事は楽しくなると思います。
先生が望む医院の姿に近づくための
空気づくりのヒントになれば幸いです!