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1. 2024年の振り返りと時代の転換点
2024年は「デフレマインド」から「インフレマインド」への大きな転換点となった年でした。これまでの「失われた30年」と言われた時代は、良くも悪くも「変わらない」時代だったと言えます。
物価も賃金も変わらない中で、「頑張っても頑張らなくても同じなら、頑張らなくても良いのでは?」という考え方が広がったりもしました。
長時間勤務に関する問題なども発生したことで、働く時間を減らすことが良いとされるような考え方が蔓延もしました。
しかし、コロナ禍をきっかけに物流システムが麻痺し、戦争の影響も重なってコストプッシュインフレが発生しました。その結果、実質賃金の目減りが徐々に顕著になっていくなど、「変わらない」ことを選択することで個人の資産が減少してしまう時代へと徐々に変化していきた1年でした。
企業側もコロナのゼロゼロ融資の返済問題、社会保障費の増加、建築・物流・医療業界での残業規制強化などの「2024年問題」に直面し人件費はますます高騰しています。
人口減少による賃金上昇圧力も加わり、ゼロゼロ融資倒産や人出不足倒産が現実のものとなっています。経営環境は日に日に厳しさを増しており、2025年はこの問題が更に加速していくのではないでしょうか。
このような状況下で、「変わらない」という選択をすることはとてもリスクが高い時代へと突入しています。
消費減少×インフレ時代を迎える中で「生産性を高める」という視点は急務となっています。
2. 生産性向上と医院経営の課題
現在の歯科医院経営においても、生産性向上は避けて通れない課題となっています。つい先日のニュースでも歯科医院の倒産件数が過去最高という報道が出ており、歯科医院の件数も減少傾向となっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dc87532e864d801b8cd7a00bc4feea115b5a9305
コロナ禍で患者様の隔離診療をせざるを得ない時、患者数の減少によって医業収入が減少したことを受けて、危険を顧みず対応をしてくださった医療従事者の方の賞与が減額されるという報道を見て衝撃を受けました。
医療機関の経営の難しさを痛感した出来事でしたが、今なお病院経営は非常に難しい曲目を迎えています。
患者様もインフレで全てのサービスや商品の価格があがる中で、限りあるお金をどのように分配するかという視点で考えるようになっています。
いかに歯科医院での治療や予防が重要であるかということをしっかりと説明することや、実際に患者様が満足してくださる治療を行えるかという観点は欠かせません。
一方で働く方の女性比率が圧倒的に高く、産休などで一時的に医院を離れる期間をどのように対応していくかという問題に対しては、抜本的な解決策はそう多くはありません。
まず、借入金を少なくしておけば医院規模を小さくすることが出来ます。
他にも、少ない人材でも対応出来る診療体制を築いておくこともその解決策の1つです。
そのため省人化や教育の重要性はますます高まっています。
また、医院経営には設備投資の負担が重くのしかかっています。セレックやCT、マイクロスコープ、iTero、サブカルテの電子化、自動精算機、アポシステムの導入など、良い治療を行うことを考えた際にこれまで以上に多額の設備費用が必要になっています。
仮にこれらの設備を備えた医院の隣で新規開業を試みる場合、設備投資だけでも相当な金額がかかる一方で、人材確保の面でも多大なコストがかかります。また、建築資材や人件費の高騰が重なり、新規開業を成功させるための舵取りはこれまで以上に困難を極めています。
別の視点で考えますと上記で述べたようなことを着実に実施してきた医院さんは、
圧倒的な優位性を持っているとも言えます。
これらの現状を踏まえると、少ない人材で多くの患者様に良質な医療を提供するための生産性向上は急務となってきています。
3.省人化の可能性
そう考えますと2025年以降、歯科医院経営において省人化の取り組みと人材教育はさらに重要なテーマとなってくると言えます。
実際に他業界では、無人レジやロボット化が進み、省人化が現実のものとなっています。
一方で、医療業界では人の手が必要な場面が多く、省人化が難しいとされています。
しかし、受付業務やカルテ記入業務など、非接触業務の効率化は可能です。
AIを活用した電話対応も増えてきています。
こうした省人化の取り組みは、生産性の向上を促し働きやすい環境づくりと
患者様へのよりよい診療を提供することに繋がっています。
4. 働き手の多様化とスキル向上の重要性
仕事に対する価値観を揺さぶられる出来事やニュースが多かったことから、
仕事観は多様化していると言えます。
どのような働き方が良いのか仕事観が定まりにくい状況も
発生していたのではないでしょうか。
しかし、先日の選挙で103万円の壁が問題となり、
働く時間を増やしていくんだ!稼ごう!という方向に空気が変わってきました。
良い悪いはおいておいたとして第3号被保険者制度の廃止の議論や、
解雇規制の緩和などの議論も出てきています。
確実に今仕事に対する考え方が「変わってきている」と感じます。
現状として、女性で7割の人が働き、高齢者も働くようになっていることで、
就業者数は2001年の6412万人から現在では6726万人と実は増えてきています。
また海外から日本に働きにくる外国人労働者の方も203万人と過去最多となっています。
しかし、業界によって需要と共有のバランスは驚くほど異なっており、
省人化しやすい業界では人を削減する動きが高まっていくと思います。
これらの人材が医療業界で働く選択をする可能性は高いと思います。
このまま物価高が進んでいくことでご高齢の方の年金が目減りしてしまうという話や、パートナーの働く時間が減って稼がないとという方が増えているなど、働く意欲の高い人が増えてきているように感じます。
企業の早期退職の問題なども起きている中で、
それらの人材が仕事が多い業界に集まってくることも考えられます。
実際に一度社会に出た後に歯科衛生士を目指す人や、
歯科衛生士学校に男性が在籍しているケースも出てきています。
このような背景から、医療業界を志望する人が増えてくる可能性は充分にあると考えられます。
このように働き手同士の競争は激化していくのではないでしょうか。
・いかに出来ることを増やしておくか
・周りと良好な関係を築けるか
・医院に貢献出来る人材であるか
このような仕事に対する姿勢は、
個人がより良い生活を行う上でも、
とても重要になってくると感じます。
これらは、
テクニカルスキル
ヒューマンスキル
コンセプチュアルスキル
といったカッツモデルの視点です。
これらの視点をできる限り早いタイミングで
身につけていく重要性をスタッフさんに伝え、
スタッフの方のためにもセミナー参加を
伝えていただくことをおすすめします。
https://www.consuldent.jp/seminor/
まとめ
上述のような生産性を高める仕組みを導入し、
成長機会を提供してくれる医院に、
就労意欲が旺盛な優秀な人材が集まってくるはずです。
まずは先生自身がこれらの重要性を認識し
一歩踏み出すことが大切になってまいります。
2025年もそのような院長先生やスタッフの皆さんを応援してまいりたいと思います!
一緒にこの大きな変化の局面を乗り越えていきましょう!
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